中国規制で投げ売りが始まった
バブルの時は、高く買ってもより高値で売れるのでみんなが殺到する。プレイヤーは70万円の靴を買い、20万円ほどのGSTを消費して生まれたシューズを100万円超で売る。「1日に50万円稼いだ」「1週間で原資回収できる」といった投稿がツイッターにあふれ、チキンレースが過熱しきった5月27日、運営が「中国本土のプレイヤーを7月15日に排除する」と発表した。
この連載は「中国トピック」を取り扱うものであり、私も中国ウォッチの一環としてこのゲームを始めた。実際のところSTEPNの中国規制は想定内ではある。中国は政策で暗号資産の取引を禁止しているし、暗号資産でなくても西側のアプリやSNSが流行するとほぼ100%排除されてきた。そのたびに市場が大揺れする。
今回もそうだった。中国規制の発表とともにSTEPNの崩壊を危惧したユーザーの投げ売りが始まった。6月初めにはB国、S国ともに靴の価格はピーク時の8~10分の1に暴落した。
個人投資家の太郎さん(30代)もSTEPN沼にはまり、損失を抱えた1人だ。4月にS国で靴を15足まで増やし、「1日で10万円稼げる」と、家族の分も靴を買って渡した。
その時は「原資回収優先」と考えていたが、B国の盛り上がりを指をくわえて見ていることができなくなり、5月下旬に友達と折半してB国で100万円超の靴を買い、mintで増やした。
「その時、即売っとけばよかったんですけどね......」
今は手持ちの靴を全部売ったとしても200万円の赤字になるので、ゲームの存続を願いながら毎日こつこつと歩いているという。
ゲーム内トークンGSTの価格も、ピーク時の10分の1になっているので(6月5日時点)、歩いて稼げる額も10分の1に減っている。