マンガ「HUNTER×HUNTER」作者の冨樫義博さんが公式ツイッターアカウントを開設し、10日あまり。2022年5月24日から、きょう6月4日まで欠かさず毎日、ネームの一部とみられる写真を投じ続けている。フォロワーは259万人を超えた。
ツイートすれば数十万の「いいね」が集まり、国内外から歓喜のリプライが届く。冨樫さんの一挙手一投足がなぜここまで注目され、好意的に受け止められるのか。蔵書1万3000冊を誇る「マンガソムリエ」の兎来栄寿(とらいえいす)さんに分析してもらった。
偉業成し遂げた「たった5人」のマンガ家のひとり
(1)冨樫さん自身がマンガ界の「トップオブトップ」であり、(2)冨樫作品が「代替のきかない稀有な存在」であること。兎来さんに言わせれば、これら2つが「好意的な受け止め」につながっている。
兎来さんは、「HUNTER×HUNTER」連載開始から20年以上、リアルタイムで追いかけ続け、マンガ家・みなもと太郎(享年74)さんと同作にまつわるトークイベントを行うなど、一家言持っている人物だ。まず、何をもって(1)「トップオブトップ」といえるのか。
「実はマンガ史上、累計発行部数5000万部以上の大ヒット作を2本以上生み出したのは、冨樫さん含めたった5人しかいないんです」(兎来さん)
残る4人は、手塚治虫さん、あだち充さん、井上雄彦さん、高橋留美子さん。冨樫さんの大ヒット作と言えば、「幽☆遊☆白書」(連載:週刊少年ジャンプ/1990~1994年)、「HUNTER×HUNTER」(連載:同/98年開始、休載中)で、幅広い世代に支持されている。
さらに今回、ツイッターでも記録を打ち立てた。これまで、マンガ家・作家のフォロワー数トップ3は、
1位:堀越耕平さん(「僕のヒーローアカデミア」/216万人)
2位:真島ヒロさん(「FAIRYTALE」/179万人)
3位:石田スイさん(「東京喰種」/136万人)
だったが、アカウント開設から一週間足らずで首位に。今や、「京都府の人口(255万人)を抜いてしまいました」と兎来さん。
さらに、冨樫さんのツイートに、様々な言語で世界中から「神よ、我々の大いなる光よ......」といったリプライが寄せられていることを踏まえ、
「私の肌感覚でも、『HUNTER×HUNTER』の(ツイッター)アイコンを使っている海外の方に出会う機会は一際多い」
と述べた。同作には、「勧善懲悪を超えた深みのある物語とキャラクター群、そして考察のしがいがあり過ぎる綿密な設定」があるため、熱狂的なファンを生みやすいことが理由ではないか、と指摘する。