観光・旅行業関係者にとってうれしいニュースが続いている。2022年5月24日には、世界の「旅行・観光競争力ランキング」で、日本が初めて1位になったことが報じられた。政府は6月から新型コロナウイルスの水際対策を緩和し、1日から入国者数上限を1日当たり2万人に引き上げる。そして10日から、団体ツアーに限って外国人観光客の受け入れが再開される。
調査開始以来初の世界一
「旅行・観光競争力ランキング」は、「世界経済フォーラム」が隔年で発表している。観光地としてどれだけ魅力的か、各国の競争力を比較したものだ。「観光の魅力度ランキング」とも呼ばれる。日本が1位になったのは、2007年の調査開始以来、初めてだという。
今回は世界の117の国や地域を対象に調査。2位以下は、米国、スペイン、仏、独など欧米の国々が上位を占める。
112の調査項目の中で日本が1位となったのは、「鉄道サービスの利便性」、「公共交通機関の利便性」。フジテレビによると、「殺人の発生率の低さ」、「モバイル端末の普及率」は2位。口承および無形文化財の数が4位、文化・娯楽観光に関する検索の数が4位。さらに世界文化遺産の数も9位と高評価だった。
一方、低評価だった項目もある。日本テレビによると、「気候変動への対応」は107位。「脱炭素には後ろ向き」だと見られている。「ビザの要件」は104位だった。
7割は東アジアから
日本を訪れる外国人観光客は増え続け、2019年には約3200万人に達していた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大で急減。政府の水際対策もあり、21年には約25万人まで落ち込んだ。
コロナの逓減傾向が続く中で、政府は水際対策の緩和を決め、6月10日からは、団体ツアーに限って外国人観光客の受け入れが再開される。産経新聞によると、添乗員付きのパッケージツアーで、検疫措置の分類として感染リスクが最も低い「青」区分の国・地域が対象だ。「青」区分は5月26日時点で米国や英国、中国、韓国など98の国・地域。
政府資料によると、日本を訪れる外国人観光客の約7割は、中国、台湾、韓国、香港から。特に中国人の「爆買い」による日本製品の大量購入が、関係業界を支えてきた。
テレビ朝日によると、現在、国際線の受け入れは成田や羽田など、5つの空港に限られているが、岸田首相は「6月中に新千歳空港と那覇空港でも再開できるよう準備を進めていく」ことを明らかにしている。
門戸開放が進んでいるが、現状ではまだ入国者の上限が1日2万人に抑えられ、団体旅行のみ。自由旅行はいつ認められるのか、中国のコロナ鎮静化がいつになるのかなど不透明な部分も多い。
産経新聞の取材に、日本旅行業協会の高橋広行会長(JTB会長)は、「段階を追ってのさらなる緩和に期待したい」と話している。