PS5は製造コスト下回る価格設定
PS5の部品には、半導体受託製造の世界最大手・台湾TSMCの製品が使われていると、これまでの各種報道や専門家の見方から考えられる。2022年5月10日付日本経済新聞(電子版)によると、TSMCは半導体の値上げを計画中で、同記事公開時点で顧客への通知を開始しているという。TSMCは21年にも最大20%の値上げ通達を顧客に行っており、再値上げとなった。価格改定の対象は「全ての顧客」と記事は伝えている。
PS5(ディスクドライブ搭載版)の通常価格は5万4978円(税込)だが、これは製造にかかるコストとほぼ同じか下回る金額のようだ。2021年1月29日付の「日経XTECH」記事はPS5の構成部品について分析。電子部品に詳しい技術者の話として、PS5の原価は「販売価格499米ドルと同等程度ではないか」と報じた。
さらにソニーグループの2020年度第3四半期決算(2021年2月3日発表)の説明会資料によると、PS5の販売をめぐっては「ハードウエアの製造コストを下回る戦略的な価格設定による損失」が生じたという。
2021年度決算(同年5月10日発表)では、ゲーム分野で営業利益が出たことの貢献のひとつに、「製造コストを下回る価格を戦略的に設定しているプレイステーション5ハードウエアの損失縮小」を挙げている。
現状で製造コストを本体価格が下回っているとすれば、さらに部材が高騰し、吸収しきれなくなったときにどうなるか――。