「プレイステーション」(PS)シリーズの歴史には、「PlayStation Vita TV」というゲーム機が存在する。2016年2月までに生産終了したが、これが2022年現在「PS5」の定価よりも高騰している。
PS VITA TVは、2013年11月に発売されたテレビに映像を出力して遊ぶゲーム機だが、横は約65.0mm(ミリメートル)、縦約105.0 mm、厚さ約13.6 mm。厚さ以外は「iPhone 13」未満というサイズ感で、ソニー公式サイトでは「史上最少のプレイステーション」と呼ばれた。
約2年3か月で終売に
PS VITA TVは、携帯ゲーム機「PS Vita」のゲームソフト(カード形式)を挿入し、テレビでプレーできる。
またネットワークサービス「PlayStation Store」でダウンロード購入すれば、過去のゲーム機「PS(初代)」や、PS Vitaの前世代の携帯機「プレイステーション・ポータブル」のソフトも遊べる。操作には、「PS3」標準の「DUALSHOCK3ワイヤレスコントローラー」を使用する。
ほかにウェブブラウザ―が搭載され、ブラウザー上や専用の記録媒体「メモリーカード」に保存した動画を再生できる。カラオケサービス「JOYSOUND.TV Plus」を使えば自宅でカラオケも楽しめるなど、手のひらサイズながらさまざまな機能を搭載したゲーム機だ。希望小売価格は9954円(税込、以下同)。
16年2月29日付のウェブメディア「AV Watch」記事によると、同月末で出荷を終了。発売から約2年3か月で終売となった。メーカーのソニー・コンピューター・エンタテインメント(当時)は、「現状、PS4が販売好調で、Vitaも日本国内で好調となっており、一定の役割を果たした」と出荷終了理由を説明したという。
懐かしのゲームをテレビで
アマゾンの商品ページでは、2022年5月18日現在「メーカー生産終了」と記載されている。同サイトの商品価格の推移がわかる非公式ツール「Keepa」を使うと、16年2月以降新品価格が高騰していったのがわかる。アマゾン公式からの出品は1月末で途絶えたあと、2月には他の業者が1万4000~1万7000円で販売。
徐々に高騰していき、3年後の2019年2月には2万4000~3万5000円に。そして22年5月18日現在の新品価格は5万9800円だ。当初の小売価格の5倍ほどで、最新のハード「PS5」の通常価格5万4978円を上回っている。中古品でも2万3800円で、やはり発売当時よりも高い。
なぜここまで高値がついているか、理由は明確でない。ただアマゾンのレビューやツイッターを見ると、PS Vitaや、10年以上前に発売されたPSPの古いソフトをテレビの大画面でプレーできる点が高く評価されている。