「砂」の乱獲で地球が壊れる 水に次ぐ天然資源、世界で奪い合い

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合法取引は3割

   こうして「上質な砂」が奪い合いとなる。主として「川砂」だ。同書によると、世界の砂取引で合法的に行われているのは150億トン程度。全体の3割前後に過ぎない。約70か国で違法取引が行われ、インド、インドネシア、ナイジェリア、イタリアなど少なくとも12か国では「砂マフィア」と呼ばれる犯罪組織が暗躍している。

   中でも「砂マフィア」が根を張っているのがインドだ。1992年から2020年の間に、インドでは48人のジャーナリストが殺されたが、うち44人が砂紛争がらみだったという。

   砂は、日本でも明治以降、近代化を進める中で大量に利用されてきた。とりわけ関東大震災や戦後の復興では大きな役割を果たしてきた。『砂戦争』によれば、コンクリートの約7割は砂だ。

   1960年代には河川砂の乱獲が問題になった。現在は砂利採取法の規制の下で主に山砂などが採取されている。環境破壊につながることもあり、国内の採取量は年々減少傾向。海外から大量の砂を輸入している。

   超高層ビルやタワマン建設、東日本大震災からの復興、大地震・津波対策の防波堤工事などで砂の需要は尽きない。日本も国際的な「砂戦争」と無縁ではない、とされている。

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