世界的に「砂」が不足している。違法な乱獲や、争奪戦が日常的に繰り広げられ、地盤沈下などで地球環境に甚大な影響を与えている――そんな「砂」を巡る危機的な状況について報じられることが増えている。
メコンデルタが沈下
ロイターは2022年4月28日、「人類は『砂不足』の危機に直面、国連が警告 人口増加と都市化の進展で」というニュースを公開した。
「砂」は「水」に次いで人類に利用されている天然資源だ。砂には鉱物が含まれ、ガラスやコンクリート、建築資材などに使用される。その消費量は過去20年で3倍に増えて年間500億トンにもなる。国連は、このままでは河川や海岸線を破壊し、小さな島々を消滅させる可能性さえあると警告。危機回避に向け、砂浜の採掘禁止を含む緊急対策を呼び掛けたという。
すでに、スリランカでは、砂の採取が原因で川の流れが逆流する事態も起きている。東南アジア最長の川であるメコン川では、川砂の乱獲で、周囲のメコンデルタが沈下している。国連環境計画のパスカル・ペドゥッチ氏によると、陸地が減少し、海面の上昇もあって肥沃な土壌で塩害が進んでいるという。