米アップルの音楽プレーヤー「iPod touch」が、現在の在庫限りで終売となる。基本ソフト「iOS」やタッチスクリーンが搭載された同機の初代モデルは、2007年9月に発売された。
しかし米国では、同様の操作性を有するスマートフォン「iPhone」がこれに先駆け、2007年6月に発売。また日本では最初のiPhone機種として、翌08年7月に「iPhone 3G」が登場した。機能が重なる中、iPod touchはどのような位置づけのデバイスだったのか。
iPhoneより少し遅れて発売
例えば「iPhone 4」(2010年6月発売)が、ソフトの処理などを行う重要な部品「Apple A4」チップを搭載すると、同年10月発売のiPod Touch(第4世代)でも「A4」を採用されるなど、性能面ではiPhoneの「後追い」が続いた。
またSIMカードを経由してのインターネット接続機能や、「iPhone 6」などに搭載された指紋認証システムは有さず、さながらiPhoneの「廉価版」のような存在だった。
半面、価格は安い。SIMフリー版iPhone 6は「16GB(ギガバイト)」モデルが8万6800円(税別、以下同)だが、翌年発売のiPod touch(第6世代)16GBは2万4800円。「A10 Fusion」チップを搭載した「iPhone 7」(2016年9月)は32GBモデルが7万2800円。同じく「A10 Fusion」が備わり、シリーズ最後の機種となったiPod touch (第7世代、19年5月)32GBモデルは2万1800円だった。
携帯電話メディア「ケータイWatch」の2019年7月12日付記事で、ITジャーナリストの法林岳之氏がその需要について触れている。当時は第7世代のiPod touchが発売された直後だ。
同氏が販売店などに話を聞いたところ、「低年齢層のエントリー端末として、一定の需要がある」との説明だったという。小中学生がスマートフォンを持つことを好ましく思わない親世代が、iPhoneのようにゲームや動画、アプリを楽しめるiPod touchを買い与えるようなケースだ。