東京都で自転車を利用する人は、いわゆる自転車保険への加入が条例で義務付けられている。自転車利用時の事故による損害に備え、保険や共済に入らなければならない。2022年5月9日の都発表によると、こうした保険への加入率は自転車を利用する都民のうち62.8%だ。
調査は20歳以上の自転車利用者が対象で、有効回答数は1004件(2月15日~3月3日に実施)だ。義務化は2019年4月に施行された。都の19年度調査では46.6%が加入だったが、20年度では60.4%と16ポイントの伸びを見せた。しかし21年度(冒頭発表)では62.8%で、2.4ポイント増に留まる。まだ4割近い自転車ユーザーが未加入なのだ。
罰則規定はあるの?
未加入による罰則はないのか。J-CASTトレンドは、東京都の「生活文化スポーツ局都民安全推進部総合推進課」に取材した。未加入での自転車の利用は条例違反にはあたるものの、ペナルティーは設けられていないという。「他の都道府県の状況も参考にしつつ、罰則を設けての対応までは考えていない」との説明だ。
未加入の理由は、さまざまだ。保険相談サービスを提供する保険マンモス(東京都港区)が22年4月25日に発表したアンケート結果によると、未加入者(有効回答数120件)のうち43%が「どの自転車保険に加入して良いか分からない」、40%が「自転車の利用頻度が低いから」と答えたという。ほかに「加入する必要を感じない」(26%)、手続きが面倒(22%)、保険料が高い(19%)と続いた(複数回答)。
東京都に住む10代女性Aさんに取材した。以前は自転車を通学に使っていたが、現在は日常的には乗っていない。「保険はおそらく、もう切れています」。
以前は両親が代わりに保険契約をしたが、自分ではどの保険に加入したらいいかわからないうえ、乗る頻度が減ったことが更新をしない理由だという。また「そもそも加入が義務だと知りませんでした」と続けた。
「義務化知らない」の声
東京都在住の20代男性Bさんは、インターネットを介して他人から譲り受けた自転車を利用している。保険は、「自転車にコストをかけたくないので、加入していません」と話した。
埼玉県では2018年4月から、自転車保険への加入が義務化されている。同県の20代男性Cさんは、友人から譲渡された自転車を持っているが、普段はあまり利用していない。まず、保険義務化を知らなかったと明かす。今後も「保険料を支払いたくない」ために加入はしないと続けた。