格安で手に入れたスマートフォン(スマホ)を、転売する。これを「ケーコジ」と呼び、手順を伝えるウェブサイトが存在する。また「ケーコジ」をツイッターのアカウント名に掲げ、スマホの転売ノウハウを発信するユーザーが複数見られる。
「ケーコジ」とは、「携帯」と「乞食(物乞い)」を合わせ、短縮した造語だ。携帯電話会社との契約を通して利益を得ようとするこうした行為が、後を絶たない。
今年初めから注目浴びる
2022年3~4月、家電量販店などにある携帯電話キャリアの販売代理店で、最新スマホ機種が「一括1円」をはじめ激安で売り出されていると、J-CASTトレンドほか複数メディアが報じた。
店舗独自の割引や、MNP(電話番号を維持しての他社からの乗り換え)転出者を対象とした限定割引、将来的な端末の返却を前提とした購入サポートプログラム。こうしたキャンペーンを組み合わせることで、端末が安くなる販売形態が知られる。
インターネット上では、「ケーコジ入門」などと題された個人ブログやサイトがある。スマホショップでMNPを活用して、大幅に値引きされたスマホを購入し、フリマアプリ「メルカリ」やスマホ買取業者に売却することで「小遣い稼ぎ」「副業」になると解説するサイトが、少なくとも5つ見つかった。
具体的な手順のほか、真偽不明な「ケーコジ」ノウハウが語られている。激安スマホ購入後、契約した回線を放置していると携帯会社の「ブラックリスト」に入れられる恐れがあるため何度か通信したほうがいい、あるいは解約するなら数か月経った後の方がいい、といったものだ。こうした情報に根拠はなく、極めて怪しい。
「グーグルトレンド」では、100を最大値として、あるワードの検索における人気度の推移がわかる。2021年9月時点では、「ケーコジ」の人気度は「3」だった。その後、22年1月では「19」。2月は「31」、そして3月が「100」でピークに。今年に入ったころから注目を集め始めたようだ。
「契約後すぐMNP」に警鐘
「ケーコジ」情報サイトを見ると、他社への乗り換えを前提とした新規回線契約や電話番号取得のことを「MNP弾」と呼び、携帯電話各社の契約から転出までの料金を比較しているところがあった。
また、契約に伴う事務手数料がゼロであり、ネット上で手続きを完結できる手軽さから、楽天モバイルへの契約が「ケーコジの練習に向いている」と語るサイトもある。
その楽天モバイルは、スマホ料金の過度な値下げについて総務省の「競争ルールの検証に関するWG(第28回)」(22年4月11日)で言及している。
ユーザーが新規電話番号を契約し、短期で解約するケースにおいては、MNPで他社に転出する事例が「非常に」多いのが現状だと問題提起。多くはMNP転出時のスマホ端末値引きが目当てだろうと主張し、「一括1円等の過度な端末値引を各社が控えることで、 端末値引目的のMNPを抑制できるのでは」と提案した。