埼玉県熊谷市の熊谷駅南口エリアには、「ナンパ族取り締まり路線」と書かれた看板がある。左下には「熊谷警察署」との署名があるが、具体的な取り締まりの内容に関する記述はない。
ツイッター上では、たびたび「ナンパ族って何だ?」といった形で、独特な雰囲気の看板として取り上げられている。
夜間に通行止め
インターネットコンテンツを制作している会社「ルックバイス」(宮城県仙台市)は、若者言葉や死語を紹介するサイト「日本語俗語辞書」を運営している。そこには「ナンパ族」も登録されている。
ナンパ族とは異性との出会いを目的に大型施設周辺、駅前などの有名スポットに集まる集団のことで、多くは車で集まるために、1980年代後半には「近隣住民にとっての騒音問題として話題になった」とのことだ。
さて「ナンパ族取り締まり路線」の看板は、熊谷駅南口から南西250メートルほどに位置する「熊谷市立文化センター プラネタリウム館」の、西側の道路に設けられている。
J-CASTトレンドは熊谷警察署の交通課長・篠永作氏に取材した。話によると、この看板の先の道路には一部区間で交通規制がかかっている。
対象は「プラネタリウム館」北西の角にある信号機から、南側の荒川の土手にかけての約150メートルの直線と、同じ信号機より西に進んで1つめの信号から、南方向にある「荒川公園」までの約70メートルの区間だ。金曜日と土曜日、そして休日前夜でそれぞれ23時から翌午前5時にかけ車両が通行禁止となっている。
今後撤去を検討
篠永氏が調べたところ、通行止めは「近隣住民の生活環境を保護する」ことを目的として平成11(1999)年7月28日に埼玉県公安委員会によって意思決定がなされ、施行された。
看板も同じ時期に設置されたと考えられるが、他に「ナンパ族取り締まり路線」の看板に関する資料は見当たらないという。篠永氏によると、当時は「ナンパ族」と呼ばれ、夜間に自動車で乗りつけてナンパ行為をしたり、騒音を発したりする者がいたと思われるとのことだ。
把握している限り、看板は先述の「プラネタリウム館」付近に2つ設置されている。現在も市内では駐車違反や暴走族に関する報告はあるが、「ナンパ族」という語句を用いての通報は寄せられていないと篠永氏は続ける。
そんな「ナンパ族取り締まり路線」の看板は、現状必要性が薄いことから撤去をする方向で進んでいるという。通行止め処置を廃止するかも含め、近隣住民の意見や要望を聞いて検討していくとした。