ロシアのウクライナ侵攻で、「ウッドショック」という言葉を頻繁に見かけるようになった。木材価格が急騰し、日本国内の住宅づくりに多大な影響が出ている。建材メーカーや住宅業者を直撃し、家を建てたり、建て替えたりしようと思っている人も、価格高騰で二の足を踏んでいるという。
国産より使いやすい
各メディアのデジタル版をチェックすると、次々と「ウッドショック」関係の記事が出てくる。
「ロシア産木材、ウクライナショックで高騰 マイホーム価格に波及か」(4月17日、朝日新聞)
「ロシア発『合板ショック』の激震、住宅価格へ波及」(4月14日、東洋経済)
「ロシア発『ウッドショック』の衝撃 ~もう家が買えない!?」(NHK、4月15日)
ロシアは森林資源が豊富だ。朝日新聞によると、世界の森林の2割はロシアにあるという。日本の木材輸入量では、合板の材料となる単板で8割強、製材で2割弱をロシア産が占める。
同紙の取材に材木店の社長が語っている。
「消費者にはあまり知られていないが、戸建てにはロシア産が意外によく使われている。大工が好むんだ。釘が抜けにくくて国産より使いやすいんだと言ってね」
日本銀行が公表した3月の統計「企業物価指数」で、「木材」は前年同月より6割近く上昇し、過去最高水準に達した。
まずコロナ禍で高騰
「ウッドショック」は、実は昨年から始まっている。NHKによると、米国でコロナ禍からの回復に伴って住宅の需要が急激に高まったことがきっかけだ。世界的に木材不足になった。日本でも木材が足りなくなり国産木材の価格も上昇。必要な木材を確保できず住宅の建設に大きな影響が出ていた。
それに拍車をかけたのが、ロシアのウクライナ侵攻だという。朝日新聞によると、ロシアの銀行への金融制裁で取引手段が狭まったうえに、ロシア政府は非友好国への単板などの輸出禁止措置を3月に発表。市場から「ロシア産」が消えつつあるという。
東洋経済オンラインによると、木材業界の中で「合板が手に入りにくくなる」との懸念が一気に広がり、卸会社やメーカーに注文が殺到した。「一部に仮需要(買いだめ)が発生している」(卸会社の社員)とも。
家づくりで使われるアルミサッシや、ステンレスの流し台に使われるニッケルなどもロシアが産出国だ。NHKの取材に、横浜市内の工務店「富士ソーラーハウス」の 大澤正美社長が語っている。
「サッシやガラスなど、あらゆる家に関するモノの値段が上がっている。コロナとかウクライナショックとかすべての影響が、最後に家に集中してきているという感覚があります」