カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。今週は牡馬(オス馬)のクラシック1冠、皐月賞(2022年4月17日、中山競馬場、芝2000メートル)だじぇい。先週の桜花賞は7番人気のスターズオンアースが勝って、これで高松宮記念以後のGI優勝馬は8番人気、8番人気、そして7番人気と大荒れだじぇい。今週も荒れるきゃすう? 皐月賞は過去10年では1番人気が3勝してるけど、7~9番人気も3勝と並んでるじぇい。今週も7、8番人気がくるかもしれないきゃすう。穴狙いはカスヨ姉さんの出番だけど、カスヨさんはまったく不調続きだじぇい。本命◎はアスクビクターモア、人気の一角きゃすう。また、はずしそうだじぇい。
ドウデュース盤石の理由は
カスヨ そうでもないのよ、カス丸。アスクビクターモアはお望みどおり、ちょうど7番人気ぐらいじゃないかしら。同じコースの弥生賞ディープインパクト記念(GII、中山2000メートル)では、無敗馬のドウデュースに土をつける結果を残した実力馬なのにね。タイムもこの10年ではマカヒキの1分59秒9に次ぐ2分00秒5と優秀だったわよ。弥生賞は皐月賞よりも途中のペースが遅くなりがちなんだけど、ちゃんと時計も出したってことは前哨戦としてよかったと思うわ。それに中山芝2000メートルは3戦3勝と負けなしで、コース相性はぴったしよ。ダノンベルーガ、イクイノックス、キラーアビリティ、ドウデュースといった素質馬が多くそろうため人気はヒト桁後半になりそう。でもね、好位からレースを運べるセンスがあるから、持続力のある末脚も魅力。マークが薄れる今回、あっと言わせるのはこの馬よ。
カス丸 ふーん、確かに中山巧者であることは間違いないきゃすう。でも、弥生賞を勝って皐月賞を勝った馬は過去10年でゼロだじぇい。この高い壁をどうするきゃすう? ガジュマル爺の本命◎は相も変わらず1番人気候補のドウデュースだじぇい。
ガジュマル爺 ふん、何が言いたいんじゃ、カス丸。今週は荒れんぞ。ドウデュースがチンピラ穴馬を蹴散らすわい。ドウデュースは3戦3勝でGI、朝日杯フューチュリティステークス(阪神1600メートル)を制し、2021年度のJRA賞最優秀2歳牡馬を受賞した実力馬じゃ。前哨戦の弥生賞は初の中山コース、初の2000メートルで、勝ったアスクビクターモアにクビ差の2着に敗れたが、今季の初戦であることを考えれば、叩いた上積みが期待できるというもんじゃ。コンスタントに34秒台の末脚を繰り出せるのは魅力じゃ。鞍上の武豊騎手はデビュー戦から乗り続けていて、勝てば2005年の3冠馬、ディープインパクト以来じゃ。名手の手綱で、2歳チャンピオンが「王道」のローテーションをきちんと守ってレースに臨むのじゃから、ここは◎本命、盤石のはずじゃ。
カス丸 競馬に絶対も盤石もないことを教えてくれたのは爺だじぇい。どうなってるきゃすう? さて、対抗はカスヨさんがこれも人気になりそうなデシエルト、爺はオニャンコポンだじぇい。
カスヨ デシエルトはデビューからダートで2連勝後、初芝の前走、若葉ステークス(リステッド、阪神2000メートル)ではスピードの違いでハナに立つと、稍重の時計がかかる馬場を苦にせず鮮やかな逃げ切り勝ちを収めたわ。500キログラム前後のパワフルな馬体も迫力は十分で、春の中山最終週の荒れた時計がかかる馬場は、この馬の能力を最大限に発揮できるわよ。ダート2連勝ということもあり、前走をフロック視されている今回は最大のねらい目かもしれないわね。
ガジュマル爺 わしのオニャンコポンは馬名が敬遠されてか、勝っても人気にならないから穴党には魅力じゃな。4戦3勝で、唯一負けたのが暮れのホープフルステークス(GI、中山2000メートル)。11着と大敗を喫したが、新馬戦(中山2000メートル)-百日草特別(1勝クラス、東京2000メートル)を連勝。そのローテーションは昨年の皐月賞馬エフフォーリアと同じ。前走の京成杯(GIII、中山2000メートル)は、それまでの先行して好位につけるレースから、4コーナー10番手(16頭立て)から豪快に差し切る脚を披露するなど新しい一面を見せたんじゃ。父エイシンフラッシュも京成杯からこのレースに臨んで3着。日本ダービーへの出走権を確保したのち、その日本ダービーで優勝。父と同じローテーションで上位人気馬にひと泡吹かせるはずじゃ。
カス丸 先週の桜花賞同様、今週も伏兵だらけだじぇい。この伏兵の中に今週も勝ち馬がいそうな気がするきゃすう。
今週も伏兵が勝つのか
ガジュマル爺 わしは、今週は3頭あげとくぞ。まずはダノンベルーガじゃ。デビュー戦は昨年11月の東京競馬場の芝2000メートル。1.7倍の圧倒的な1番人気に推され、上がり(最後の600メートル)33秒1の最速タイムで2着に2馬身差をつけて差し切ったんじゃ。2戦目の共同通信杯(GIII、東京1800メートル)も、中団からのレース運びで上がり33秒7の差し脚を披露。2着のジオクリフ(札幌2歳ステークス勝ち)に1馬身2分の1差をつけて優勝じゃ。共同通信杯を経由して皐月賞で馬券になった馬の成績は過去10年で複勝(3着以内)率46.7%と相性の良さは抜群。2連勝でクラシックの有力候補に名乗りを挙げた好素材であることは間違いないが、右のトモに不安を抱え、順調さを欠いたのは残念じゃ。また、右回りの中山コースに替わることも未経験でプラスにはならない。2戦というキャリアの浅さも気にはなる。近年、サートゥルナーリア(2019年)やエフフォーリア(2021年)と3戦で皐月賞を制した馬はいるが、2戦での参戦がどう出るか。ただ、同じ2戦2勝のイクイノックスよりもローテーションはいいじゃろ。次がそのイクイノックスじゃ。新馬戦(新潟1800メートル)を2着(メンアットワーク)に6馬身差の圧勝。続く、東京スポーツ杯2歳ステークス(GII、東京1800メートル)も勝って、2連勝じゃ。新馬戦で3着だったサークルオブライフが2歳時にGI、阪神ジュベナイルフィリーズに優勝(先週の桜花賞で4着)。4着のサトノヘリオスが未勝利(中京2000メートル)-エリカ賞(1勝クラス、阪神2000メートル)を連勝。前走のスプリングステークス(GII、中山1800メートル)で3着に入るなど、レベルが高かったことが評価されとるんじゃ。父キタサンブラックは2015年の菊花賞や16年と17年の天皇賞(春)、17年の有馬記念などGI6勝。母は2015年のマーメイドステークス(GIII)でのちのGI馬、マリアライト(エリザベス女王杯、宝塚記念で優勝)を破って優勝したシャトーブランシュ。その父キングヘイローは1998年の皐月賞で2着。2000年のGI、高松宮記念(中京1200メートル)を制すなど、スピードに勝った馬で、こうした血統が色濃く出ればスピード競馬にも対応できるはずじゃ。とはいえ、懸念材料はやっぱりローテーションじゃ。これまでの皐月賞を勝った馬で、レース間隔が最長だったのは暮れのホープフルSから臨戦したコントレイル(2020年。中112日)。約5か月のレース間隔がどう出るかじゃな。最後にジャスティンパレスじゃ。2000メートル戦ばかりを3戦。中京(新馬戦)、阪神(黄菊賞、1勝クラス)と違うコースを経験して2連勝。いずれもクリストフ・ルメール騎手を背に、単勝1倍台の断然の1番人気に応えた。先行できる脚が魅力で、皐月賞と同じコースの前走、ホープフルSも先行して5番手(15頭立て)からレースを運び、キラーアビリティの2着じゃ。勝ち馬が3番手からのレースで、最後は捕まえきれなかったものの、長くいい脚を使えるのは混戦になったときにプラスのはずじゃ。その前走で、課題とみられた多頭数のレースを経験し、安定して力を発揮できるタイプのようじゃな。
カスヨ それじゃ、私も3頭にしとくわ。まずはビーアスドニッシドよ。京都2歳ステークス(GIII、阪神2000メートル)は逃げて2着、共同通信杯も逃げて3着、前走スプリングSも逃げて1着と、スムーズに逃げることができればすべて馬券内に入っている馬ね。好成績を残しながらも地味な血統で人気は出ないのね。6戦走っていて、すべてのレースで人気以上の成績を出している実力馬で、紐荒れになった場合に絡みそうだわ。次がキラーアビリティよ。サートゥルナーリア、コントレイルのように暮れのホープフルSからの直行組。前走は3番手から直線半ばで抜け出して1馬身半差で快勝といった高い実績を持っているのね。まあ、トラックバイアスも多少あり内が有利な馬場だったと考えられるため、今回は抑えにしたわ。最後はラーグルフよ。芙蓉ステークス1着、ホープフルS3着と中山2000メートルの実績は十分。前走の弥生賞はスムーズな競馬ができずに11着と大敗。スムーズに運べればホープフルSくらいの成績にはなりそうな馬ね。今年の高松宮記念で悲願のGI制覇を決めた丸田恭介騎手と宗像調教師。同じコンビでアッと言わるかもしれないわよ。
カス丸 カスヨさんが言うように、皐月賞は弥生賞よりラップが速いきゃすう。どちらかというとホープフルステークスが近いじぇい。つまり1ハロン(200メートル)12秒後半がほとんどないきゃすう。これに近かったのが札幌2歳ステークス。それを圧勝したジオグリフを本命◎するじぇい。追い切り(レース直前週の速いタイムの調教)でも落ち着いて成長の跡が見えたきゃすう。