治療薬は1回約8万円
オミクロン株は当初、「軽症がほとんど」と言われたが、感染者数が膨大になるにつれ、高齢者を中心に死者も急増した。
日経新聞によると、厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」は3月2日、新型コロナとインフルの比較結果を示した。2月下旬までのオミクロン型の致死率は約0.13%。インフルエンザは少なくとも0.006~0.018%と推計され、関連死を含めても0.01~0.052%だった。致死率には、かなりの差がある。
コロナでとくに気になるのは医療コストだ。ワクチンは米ドルで20~30ドル、日本では接種1回ごとの医師らに原則2070円の対価が支払われている。米国などで開発された治療薬は、各種報道によると、1回当たり約700ドル(約8万円)と言われている。「抗体カクテル療法」は1回31万円もかかるようだ。いずれも現在の基準では、公費負担となっているため、自己負担はない。
さらに容体急変時の高度な救命治療や、後遺症による長期の治療なども含めると、高額療養費制度を使っても、患者や家族の負担は大きい。
感染症に詳しい岡田晴恵・白鴎大学教授は、「AERA」3月21日で、「一般的にコロナウイルスは、変異がドラスティックで先が読み難い怖さを秘めています。オミクロン株(BA.1)は上気道が主でしたが、ステルスオミクロン(BA.2)は、また肺で増えやすくなっている。オミクロンが最後の変異株ではないでしょう。今後の変異株が病原性も強くなるか弱くなるか、わからない。安直に2類、5類と分けて対応できる問題ではありません」と語り、類型の見直しよりも、ワクチン接種・検査・治療療体制の充実など、先にやるべきことがあることを強調している。