今や、ひとり1台持つのが当たり前になってきた携帯電話。一方、10代や20代では固定電話になじみの薄い人が増えてきている。
しかし、社会に出ると職場では今も固定電話が健在だ。この時期、新入社員の電話対応は話題になる。固定電話に不慣れな新人がやらかしてしまったケースも...。
先輩世代とのギャップ
総務省の「通信利用動向調査」によると、2020年の日本国内におけるモバイル端末全体の保有率は83%。一方、固定電話の世帯全体の普及率は68.1%だが、20代では8.1%、30代も21.4%と低い傾向に。これに対して、40代は59.7%、50代以降では80%以上と世代間の差が顕著だ。
家庭に固定電話がある場合でも、携帯電話の普及で固定電話の利用機会は少ない。若い世代は固定電話に慣れていないため、苦手意識を持つこともあるようだ。
社会人2年目の Aさんの場合、自宅に固定電話はあるが、呼び出し音が鳴っても「完全無視」だという。家族全員、留守番電話に切り替わるまで誰も取らない。留守録が始まり、知り合いからだとわかった場合に限り、母親が受話器を上げる。
ただ、会社では困りごとが発生するとAさん。
「ある程度日常的に(固定)電話で応対をしてきた職場の先輩世代と、ギャップがあります。私たちも、『研修が無くても何とかなるだろう』と思われてしまいました」
社会人3年目のBさんは、ひとりで実家にいる場合にしか、電話に出ないそう。しかし、「営業電話が多すぎて邪険に出たら、祖母からの久々の連絡でした。めっちゃ謝りました」。
「コンセント抜きました」
「どうしても電話に出たくない」。その思いが表れたエピソードもある。
社会人1年目のCさんは学生時代、飲食店でアルバイトをしていた。そこでは予約の電話がかかってくる。しかし、「固定電話に慣れていなさすぎて、電話で知らない人と話したくないから、全て先輩か店長にお願いしていた」と明かした。高校生の時まで自宅に固定電話があったが、ほとんど連絡がくることはなかったという。
社会人3年目のDさんは、実家の固定電話なら、かかってきたら取るそうだ。しかし、
「会社の固定電話取りたくないから、黙って目の前のコンセント抜きました。快適です」
勤務先に、「営業電話」がかかってくることが多いためだ。Dさんは今のところ、業務に支障は何一つ出ていないと話す。同僚はこのことを知っているが、上司は気づいてない可能性があるという。
知らない人からの電話「怖い」
もっと若い世代ではどうか。現在高校2年生のEさんは、家に固定電話はあるが受話器を取ったことはない。「知らない人からかかってきたときに、どう対応すればいいのかが分からず怖い。面倒に感じてしまう。母が取ってくれるから、任せている」と話す。
男子中学生Fさんの自宅には、固定電話がない。当然、知らない人からかかってくる電話に応対した経験はないそうだ。
ほかにも、「知らない電話番号には出ない」、「親が取る」、「バイト先では店長や社員が取る」、「バイト先での電話研修がなかった」という話があった。