赤の他人の証明写真が手に入る「カプセルトイ」が登場した。知らない人の顔写真を手に入れ、何に使うのだろうか。
考案した寺井広樹さん、写真提供者、購入者それぞれに話を聞いた。
考案者もびっくりの売れゆき
寺井さんは「離婚式」や、意識的に泣くことでストレス解消を図る活動の「涙活」を発案したアイデアマンだ。「証明写真ガチャ」は、発売から10日ですでに1000枚ほどが売れた。
写真の提供者は、知り合いだと話す。小学校で教頭職についている人や大学生、休職中のパート主婦など、「リアリティーのある人」にお願いをしたそうだ。中には、寺井さんが付き添って撮影に行ったパターンもあるという。よりリアルさにこだわるために、
「何枚かに1枚は、本人の直筆サイン入りの写真が含まれています」
と、「シークレット」の存在を明かした。履歴書に貼る際、裏面に名前を書く習慣を再現したそうだ。ヒットの理由はさまざま考えられるそうだが、リアリティーの追求や商品としての意外性、インパクトではないかと話した。また、こうも考える。
「証明写真は自然で、本来は人に見せたくないものだと思います。昨今は『盛った』写真があふれていますが、新型コロナ禍で顔を見る機会が減った今だからこそ新鮮で、魅力を感じてもらえたのではないでしょうか」
ただし、「赤の他人の証明写真がここまでニーズがあるのは、私もびっくりしています」と付け加えた。
写真提供者「自分を知ってもらえる」
販売中のカプセルには、全10種類の証明写真がある。そのうち1種類を担当したAさんは、現役の女子大生。「とても楽しい企画だな」と思い画像提供を決めたと話した。
もちろん、知らない人に自分の写真が渡るのは心配もあったという。しかし、「出会うことのなかった人に自分を知ってもらえるなと思い、写真提供に踏み切りました」。
提供後にこれほど話題になったことに、Aさんはうれしそうだ。「このガチャに対して抱く感想が人それぞれ違って、ニュースやツイッターなどで見るたびに楽しいです」。
財布に入れて「金運アップ」
最後は、実際に写真を手に入れた人だ。タナK(@aerobics_girl)さんの、
「『赤の他人の証明写真』という神ガチャでどうやらアタリっぽいおじさんを手に入れた」
という投稿は、2022年4月7日現在で4万9000件のリツイートと34万8000件の「いいね」が集まった。本人に取材すると、東京・神楽坂を散歩しているとき、カプセルトイを発見したタナKさん。特に目的を持たずに入手したそうだが、「財布のなかに大切にしまっています。金運がUPしたように感じます」と大事にしている。
ほかの購入者にも聞いてみた。しま?(@sy_014_clm)さんは、「ライブドアニュース」の記事をきっかけに、このカプセルトイを知った。「近くまで行く機会があったので、せっかくだから」と、「ネタ目的」で手に入れたそう。写真はその後、どうしたのか。
「誕生日プレゼントとして、友人に渡しました」