ヤフー「中国撤退」本当の理由 アリババと提携後も不発、存在感なかった

糖の吸収を抑える、腸の環境を整える富士フイルムのサプリ!

最初から低空飛行

   その後、ヤフーは本家の米国事業が凋落し、中国市場に目を向ける余裕もなくなっていった。アリババにとってもチャイナヤフーはお荷物状態で、2013年にはチャイナヤフーのポータルサイトが閉鎖され、「@yahoo.com.cn」と「@yahoo.cn」のドメインも廃止、ユーザーは国際版である「@yahoo.com」への移行を求められた(今年2月末でこのドメインも使用できなくなった)。この年に大半のサービスが停止され、2015年には北京の研究開発拠点も閉鎖された。2021年に撤退を発表したときには、天気やニュースの配信など、わずかなサービスしか手掛けておらず、撤退で困るユーザーはほとんどいない状態にあった。

   振り返れば、ヤフーの中国事業は最初から低空飛行で、アリババとの提携は大きなニュースになったものの、それがピークだった。しかし、完全撤退が話題になったのは、中国の古いネットユーザーを中心に、ヤフーの歴史的貢献が認識されており、「一つの時代が終わった」と感じさせたからだろう。

【連載】浦上早苗の「試験に出ない中国事情」

浦上早苗
経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
Twitter:https://twitter.com/sanadi37
姉妹サイト