後に「アリババ最大の失敗」とも
ヤフーが新たな協業相手に選んだのが、当時まだベンチャー企業だったECのアリババだ。アリババは中国に進出した米イーベイ(eBay)との戦いで注目を集めていたが、当時は「巨象(eBay)にアリ(アリババ)が挑む」とみなされるくらい力の差があり、アリババは資金やブランドを必要としていた。また、アリババ創業者のジャック・マー氏は政府職員時代に、北京を訪れたジェリー・ヤン氏を万里の長城に案内するなど、個人的な親交もあった。
ヤフーとアリババは2005年、資本・事業提携を結んだ。ヤフーはアリババの株式の40%を10億ドルで取得し、アリババはヤフーの中国ビジネスを取得する内容で、中国では「アリババがヤフーの中国事業を買収」、米国では「ヤフーがアリババを買収」と報道された。そしてこの取引で、アリババは日本のソフトバンクと米ヤフーの2社が大株主に就くことになった。
ジャック・マー氏はECプラットフォームに検索技術を活用することで、サービスの魅力を高めたかったようだが、組織やサービスの融合は簡単ではなく、ヤフーチャイナのトップは何度も変わり、戦略は迷走した。「ヤフーチャイナ」というブランドも、途中で「チャイナヤフー」に変更されたが、「名前を変えるくらいしかやれることがない」と揶揄された。
そうこうしているうちに、バイドゥ(百度)に加えグーグルが台頭し、中国市場でのヤフーの検索サービスのシェアは1%を割った。
アリババとヤフーのタッグは中国IT史に残る歴史的な提携だったが、後に「アリババ最大の失敗」とも呼ばれた。