カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。いよいよ春のGIがスタートするじぇい。今年の冬は寒かったけど、3月に入って一気にあったかくなって競馬日和が続いているきゃすう。さて今週は芝の短距離王者決定戦「高松宮記念」(2022年3月27日、中京競馬場、芝1200メートル)だじぇい。短距離王者はグランアレグリアが絶対王者として君臨してたんだけど引退。今回は新王者の決定戦でもあるきゃすう。そのグランアレグリアの後釜に座る新王者はどの馬か、さっそく予想にいくじぇい。カスヨ姉さんの本命はグレナディアガーズきゃすう。1600メートルではGIを取った馬だけど、1200メートル戦は初めてだじぇい。いきなりで勝てるきゃすう?
上位人気馬の強みと弱点
カスヨ レースの舞台となる中京コースは、スタートからやや上り、そして第3コーナー手前から下って、最後の直線に入ると急坂があって後は長い直線、といった具合に単なる平たんコースとは違ってどちらかというとタフなコースなのね。だからスピード一辺倒よりは1400、1600メートルあたりを使った馬があってるのよ。それに天気予報では雨が降るようなことを言ってるからコースが湿れば、余計スタミナやパワーが必要になるわね。グレナディアガーズは、一昨年の朝日杯フューチュリティステークスを1分32秒3の2歳レコードで快勝したわ。ハイペースの流れを先行できるスピードがあるし、初の1200メートルにも十分に適応できるはずよ。前走の阪神カップでは中団でレースを運び、上がり最速34.0秒で差し切って勝利。1600でも1400でもスピードを生かした勝利を見せてきたし、1200メートル戦が初めてといっても、このスピードとスタミナがあれば、十分適応可能だと思うわ。阪神カップのようなレース運びができれば、今回もさらに良化すること必至だわね。
カス丸 うーん、有力な一頭に間違いなさそうだじぇい。ガジュマル爺の本命◎はじゃじゃ馬で鳴らしたメイケイエールきゃすう。前走はちゃんと走ったけど、今回はどうなるか分からないじぇい。
ガジュマル爺 確かにカス丸が言うように、メイケイエールはレースでかかるクセ(騎手が制御できすに暴走するクセ)があるんじゃが、現状では1200メートルがもっとも力を出せる距離といえそうなんじゃ。デビュー戦(新馬戦、小倉)では1200メートル戦を、2着(ペガサスウイング)に5馬身差をつける圧勝で、その快速ぶりを見せつけたんじゃ。しかし、その後、距離が長くなるとGI戦の阪神ジュベナイルフィリーズといい、桜花賞といい、いずれも阪神競馬場の1600メートル戦じゃったんじゃが、暴走ぎみで能力を発揮できなかったんじゃ。しかし、GIハンターの池添謙一騎手が騎乗した前々走、昨秋のスプリンターズステークス(中山1200メートル)は古馬相手に4着と健闘したんじゃ。そして前走のシルクロードステークスは、2着に1馬身差と圧勝と、もう暴走することはないじゃろうし、継続して騎乗するのじゃから問題ないはずじゃ。
カス丸 だと、いいんだけど、馬は気分でどうなるかわからないきゃすう。爺の対抗〇は1番人気が予想されるレシステンシアだじぇい。こっちが本命にふさわしいんじゃないきゃすう。
ガジュマル爺 そうかもしれんが、わしの本命はいつも言うように一番強い馬なんじゃ。いまはメイケイエールなんじゃ。とはいえ、レシステンシアも安定感では、一番じゃろ。2021年のこのレースでクビ差の2着(優勝はダノンスマッシュ)じゃ。初めての1200メートル戦で、外枠(16番枠)から中団につけて差す競馬をみせたんじゃが、もう少し前につけてレースを運ぶのが、この馬の本来の姿なんじゃ。スプリンターズステークスの前哨戦、セントウルステークス(GII、中京1200メートル)では先行2番手から、2着のピクシーナイト(スプリンターズSの勝ち馬)の追撃をしのぐ競馬。前走の香港スプリント(21年12月。GI、シャティン1200メートル)も2着。GIは1200~1600メートル戦ばかりを7戦しているが2着4回(優勝は、2歳時の阪神ジュベナイルフィリーズ)と惜敗続きじゃ。距離適性はメンバー中1、2と、勝っても不思議はないものの、香港以来の出走というローテーションが不安材料じゃな。
カス丸 海外遠征帰りが心配きゃすう? カスヨさんの対抗〇はサリオスだじぇい。ちょっと意外な感じもするきゃすう。
カスヨ 距離がでしょ。でも,体型からしてスプリントが合うのでは、という声は前々からあったわよ。サリオスは2019年のGI、朝日杯フューチュリティステークスを勝ち、翌年の3歳クラシックの皐月賞、日本ダービーをともに2着と出走馬の中で実績は最上位よ。コントレイルがいなければクラシック2冠を取れていたと思われるほどの実力があり、敬意を払って対抗にするわ。一昨年の毎日王冠以降は勝ちから遠ざかっているんだけど、前走の香港マイル(GI、シャティン1600メートル)では3着に入り復調気配を見せた。とにかくこの馬のポテンシャルに期待だわね。
カス丸 さて、上位人気馬だけでなく伏兵多数のレースきゃすう。どんな穴馬がいるか、今回は本当に楽しみだじぇい。
一発狙いの穴馬たちが勢ぞろい
カスヨ 私から行くわよ。まずはナランフレグね。中京芝1200メートルは5戦して1勝2着2回3着1回と複勝率80%で得意なコースね。近4走は上がり33秒台の強烈な末脚で確実に伸びて3着以内に入っており成績が安定しているわ。瞬発力勝負の流れになれば頭まであるかもね。次はレイハリアよ。3歳春にダートで未勝利戦を勝ち上がると、その後は芝1200メートルを3連勝でキーンランドカップ(GIII、札幌)を制するほどの充実ぶりを見せたわ。4勝はいずれも1200メートル戦で、中山ダート1200メートルの不良馬場、新潟芝1200メートルの馬場、中京芝1200メートルの良馬場、札幌芝1200メートルは良馬場と右回り左回り、良馬場重馬場など、どんな条件でも対応できるところが強みだわね。前走の京阪杯(GIII、阪神1200メートル)は16着と大敗しているから、あまり人気にはならないでしょうけど、適性の高さを考えて抑えるわよ。最後はクリノガウディ―だわね。一昨年の幻の高松宮記念馬よ。GIで1着入線(記録は4着)できるだけの実力を秘めており、叩き2走目で得意の左回りなので、近走のふがいない成績から一変があっても不思議ではないわ。一発を期待ね。
ガジュマル爺 わしはまずはダイアトニックじゃな。21戦のすべてが1200~1600メートル戦で、重賞3勝を含む8勝と、短距離の「鬼」じゃな。2019年秋のスワンステークス(GII、京都1400メートル)勝ちのほか、2000年のGI高松宮記念で3着(優勝はモズスーパーフレア)、GIIIの函館スプリントステークス勝ちと1200メートル戦で好成績を残しておるんじゃが、21年は夏のキーランドカップ(GIII、函館1200メートル。優勝はレイハリア)で14着に敗れるなど、さっぱり。昨年はこの1戦だけで、今年は1月5日の京都金杯(中京1600メートル)で4着、前走の阪急杯(GIII、阪神1400メートル)勝ちと、かつての走りが戻ってきておるところじゃ。父、ロードカナロアは2013年のこのレースの勝ち馬だから、スプリント血統であることは間違いないはずじゃ。父と同じ安田隆行厩舎の所属でもあり、このレースには縁があるんじゃ。7歳馬となったが、2000年の3着以上を期待じゃな。2頭目はシャインガーネットじゃ。レシステンシアと同世代の5歳牝馬。この馬も1200~1600メートルばかりを使われ12戦を消化。2020年にファルコンステークス(GIII、中京1400メートル。2着はラウダシオン)勝ちがある。次走でGIのNHKマイルカップ(東京1600メートル)は、優勝したラウダシオン、2着のレシステンシアの6着。GI挑戦はそれ以来だが、前々走のオーロカップ(リステッド、東京1400メートル)3着、前走のGIIIシルクロードステークス(中京1200メートル)2着と調子は上がってきておるんじゃ。中京コースは重賞勝ちもあり、相性が良さそうじゃ。展開が向いたときの、好位からの差し脚に期待。最後はトゥラヴェスーラじゃな。昨年のこのレースで4着と好走。GI挑戦はそれ以来となる7歳馬。3歳時には、葵ステークス(重賞、京都1200メートル)の2着があるなど1200メートル戦で良績を残したものの、古馬との対戦になれるのに時間を要したんじゃ。2020年からは1200~1400メートル戦にしぼって出走。12戦して掲示板(5着以内)を外したのは4戦だけだったんじゃ。前々走(21年)の京王杯スプリングステーク(GII、東京1400メートル)で2着、前走の阪急杯(GIII、阪神1400メートル)でも2着と好調を維持しておるのが強みじゃ。「短距離の差し馬」の格言どおり、強烈な差し足で一発を狙うはずじゃ。
カス丸 うーむ、これは面白そうきゃすう。でも軸になるのは安定感抜群のレシステンシアだじぇい。本命◎にするきゃすう
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