ロシアへの経済制裁が日本の食卓に及んでいる。意外なところでは「そば」にも影響があるという。実はロシアは世界有数の「そば生産国」。あまり知られていないが、日本はロシアから、かなりの量を輸入しているのだという。
世界各国で食べられている
世界のそばの生産量は、2020年の国連食糧農業機関(FAO)の統計によると、約181万トン。生産量が多い国は、以下の順。
1位 ロシア 89万2000トン
2位 中国 50万4000トン
3位 ウクライナ 9万7000トン
4位 米国 8万6000トン
5位 ブラジル 6万5000トン
6位 日本 4万5000トン
年によって多少の変動があるが、ロシアと中国が1位を競っている。両国だけで世界のそばの7割前後を生産している。
農林水産省のウェブサイトによると、ロシア・ウクライナ・東欧の料理にはカーシャ(ソバの実のおかゆ)、ブリヌイ(そば粉入りのパンケーキ)、中国ではヘイロ(モンゴル地方の押し出しそば)、モルンチフ(練ったそばを、ちぎって猫の耳ぐらいの大きさに伸ばしてゆでた料理)などがある。
「そばは日本食」だと思われがちだが、実際には世界各国で食されている。フランスではそば粉のクレープ「ガレット」、朝鮮半島では、冷麺やそば粉のチヂミもある。
中国産が高値更新
日本のそばは、かつては全量国産だった。しかし。1960年代から一部を輸入するようになり、70年代以降は自給率が10~20%台に落ちた。日本で食べられているそばの8割前後が、実は輸入品となっている。
立ち食いそばや乾麺、カップ麺などで消費されている。輸入先は中国からが1位。全体の約7割を占めている。続いて米国、ロシアの順。
TBSは2022年3月14日、「ウクライナ危機 小麦だけじゃない!ロシア生産世界一のそば、価格高騰のピンチ」と報じた。特に「かき揚げそば」は、そば粉、油、小麦粉の高騰で三重苦だという。
日経新聞は3月15日、より詳しい情報を掲載している。それによると、そば粉の原料となる中国産の玄ソバ(殻付きの実)の国内流通価格が、すでに前月比約6%上昇し、最高値を更新したという。
「世界最大のソバの実生産国であるロシアのウクライナ侵攻で、ロシア産の供給が滞るとの見方が浮上。北米産も今秋の生産が減る見込みで、中国産に注文が集まった。価格差が大幅に縮小した国産も需要の増加が見込まれている。海外産を多く使う立ち食いそば店などは追加値上げも視野に入る」と報じている。