国税の電子申告・納税システム「e-Tax」で2022年3月14日にシステム障害が起きた。国税庁は12時20分時点で「システムに繋がりづらい状況」と発表。最新の告知(15日13時時点)でも「断続的につながりづらい状態が発生」しており、原因は解明できていないとしている。
2021年分の所得税・贈与税の確定申告の期限は15日までだった。このタイミングでの不具合に、ツイッター上では、「申告内容を入力したがシステムに送信できない」「e-Taxにログインできない」といったトラブル報告が相次いだ。
「受信通知」確認できず
国税庁は、今回のシステム障害により期限内の申告が困難な人に対し、15日中に書面で提出するよう呼びかけるとともに、申告期限の延長もできると説明している。16日以降に提出する場合、e-Taxなら「特記事項」欄に、書面なら申告書右上の余白に「e-Taxの障害による申告・納付期限延長申請」と記入すればよいという。延長申請が可能な期間は、障害の解消後に発表する。
長野県安曇野市の税理士・船着貴史氏に取材した。14日は、顧客から請け負った申告業務があった。昼食後、作成した1件の申告書をe-Taxに送信。ここで「待ち」の状態が続いたという。本来ならば送信後、システム上で受信が完了した旨が通知される。ところが受信通知を確認できなかったと話す。
e-Taxは「使える」のか
実はe-Taxは、今年1月4日にもシステム障害を起こしていた。国税庁発表によると、受付処理が遅延し、受信通知が送信されなくなったが、同日中に復旧していた。この不具合を経験していた船着氏は、今回のトラブルも時間の経過で解決されると判断し、国税庁の対応を待つことにした。
ただ3月15日朝になっても状況に変化はなく、0時50分ごろの時点で受信通知は確認できていないと話した。顧客には15日に提出ができない可能性があると伝え、理解を得たという。なお取材後、13時半ごろに通知を確認できたとした。
ただ、e-Tax自体は「有用性の高いシステムだと認識しております」と船着氏。税務署の窓口への書類の持参や郵送の準備の手間を効率化でき、空いた時間で顧客に別のサービスを提供できると評価した。同氏は以前、税務職員として国税局や税務署に勤めていたが、その経験を踏まえても、また一人の納税者として見ても役立つシステムと感じていると語った。