米国・カナダの不作が原因
しかし、日本で今、小麦の価格が上がっているのは、直接的にはロシアのウクライナ侵攻によるものではないようだ。
農林水産省は3月9日に2022年4月期の輸入小麦の政府売渡価格を発表した。平均で1トン当たり7万2530円、前の期より17.3%引き上げられた。
日本は小麦の9割を輸入し、売渡価格は政府が決めている。TBSは「値上げは悪なのか? 輸入小麦の高騰から考える『価値ある値上げ』への転換」というニュースで、日本の小麦価格の仕組みを丁寧に解説している。
それによると、今やパンや麺類など小麦関連製品の1世帯あたり消費支出はコメを上回り続けている。そのため、小麦の安定的な供給および価格を実現するため政府がまとめて買い付け、製粉会社に売り渡す仕組みになっている。
金額は半年ごとに見直され、直近6か月の買い付け価格の平均となる。今回の値上げ主な要因は3つ。(1)主要な産地である米国・カナダの高温、乾燥による不作、(2)小麦の質の低下による日本が求める高品質な小麦の調達価格の上昇、(3)ウクライナ情勢による供給の懸念。
ただ、ロシアによるウクライナ侵攻が報じられたのは2月24日。今回の算定期間(2021年9月2週~2022年3月1週)においてウクライナ情勢の影響が反映された期間はわずかだとしている。