ロシアのウクライナ侵攻が、日本の食卓に大きな影響を与えることになりそうだ。各メディアが相次いで報じている。とりわけ深刻なのが、海産物だ。カニ、紅サケ、イクラ、ウニなどは主としてロシアから輸入されている。早くも値段が上がり始めている。
「上ウニ」は「ロシア産」
「カニの取り合い始まっている」――そんな衝撃的な見出しで魚市場の最新状況を伝えたのは2022年3月8日の朝日新聞デジタルだ。
国産のカニの仕入れ値は2週間前に比べて、東京では2割ほど上昇しているそうだ。ロシア産のカニが減り始め、他の産地に需要が集中しているためだという。
特に影響が深刻なのが北海道だ。北海道文化放送によると、道内では、海外から輸入される海産物の輸入額に占めるロシアの割合が極めて高い。19年は約4割、20年は約5割、そして21年は約6割と増加し続けていた。
そのうち、カニについてはロシア産が輸入全体の約84.1%、ウニについては赤潮の影響で北海道産の入手が難しくなったこともあり、約97.4%にもなる。北海道の海産物は北海道産と思われがちだが、実際にはロシアからの輸入が極めて多い。
朝日新聞によると、北方四島周辺でとれる「ロシア産」のウニは、品質が良く、国内では「上ウニ」として売られている。ロシアからの供給がなくなった場合、店で「上ウニ」を出せなくなったり、国産やカナダ産の値段が上がったりする可能性があるという。
ノルウェー産も手に入らない
時事通信によると、日本の紅ザケの輸入シェアはロシア産が8割ほどを占める。カニやウニの輸入も、ロシア産の割合が5割前後と最も大きい。ロシアに対する経済制裁が本格化すると、ロシア企業との取引や貿易が難しくなり、海産物の輸入も滞る。影響は回転ずしにも及びそうだ。
日刊ゲンダイによると、21年のロシアから日本への水産物の輸出は、イクラを主とした「魚卵・肝臓・白子」が金額ベースで58%増加していた。大手回転ずしチェーンの「イクラ」の多くは、原産地がロシアと表示されている。ロシアからの輸入がストップになれば、回転ずしでイクラは食べられなくなるかもしれない、と同紙は指摘している。
愛知県のCBCテレビは、意外な影響も伝えている。早くもノルウェー産サーモンの入荷が「ほぼゼロ」になっているというのだ。
いまロシアは、欧州各国の航空会社にたいしてロシア領空の飛行を禁止している。そのため、通常ロシアを通って日本に運ばれるノルウェー産サーモンの空輸が難しくなり、市場ではほとんど見られなくなった、という。