「ところで、覚醒剤の写真はどれかな?」
聞くとびっくりしてしまう、物騒な質問。これは税関のイメージキャラクターの公式ツイッター「カスタム君(@Custom_kun)」が投稿した、ツイートの一部だ。そこには、形状の異なる白い「何か」が入った袋の写真が4つ並び、それぞれ1〜4まで番号がふってある画像が添付されていた。
公式アカウント、しかも税関のキャラの投稿としては、なかなか「攻めてる」気もするが――。
「税関が何をやっているかわからない」
前述のツイートから5日後、正解は1〜3番と発表された。残りの4番はプロテインだという。
カスタム君の公式ツイッターでは、語尾に「ワン」をつけた上で、これまでにも「大阪税関クイズ」や東京税関からの「#密輸クイズ」シリーズが実施されてきた。役所の硬いイメージから離れ、少々異色な印象がある。
財務省関税局に取材した。広報によると、カスタム君がしゃべっているイメージでつぶやくことで、親しみやすさを持ってもらおうとのねらいだそうだ。「税関が何をやっているかわからない、という人が多いです。興味を持って欲しいとツイッターを始めました」。
だが、「覚醒剤」の写真を選ばせる「クイズ」は、少々刺激的だ。これは3年前にさかのぼる。当時、消費税増税をきっかけに「金」の密輸が増えるのではないかという懸念があったことから積極的な注意喚起を行うために、クイズ形式で隠匿の手口などを紹介していたという。
ほかの投稿より反応がよく、クイズに興味を持って答える人が多かった。そこで業務内容含め税関について知ってもらおうと、この形を継続しているとの話だ。
「上司も好意的に受け取って」
こうした「大胆」な投稿は、会社であれば上司から許可を得るなどするだろう。役所であれば、なお難しそうに感じるが......。
「上司も好意的に受け取ってくれました」
広報担当者の答えは、こうだった。税関周知のための「1つの手段になればいいかな」と、あまり細かく指摘されたことはないそうだ。
ここまで積極的に広報活動をするのはなぜか。担当者は「個人的な意見ですが」と前置きした上で、税関の業務である海外からの帰国者の手荷物検査を例に挙げた。
「疲れて帰ってきた中で、検査されるのは嫌だと思います。ただ検査により禁止薬物を水際で止めていると(ツイッターなどの広報活動を通して)知っていただけると、協力していただきやすいのではないか、と思っています」