「トラベルミステリー」西村京太郎さん 初めはブルートレインに興味なし

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「特攻」「玉砕」作戦を批判

   西村さんは同書で、なぜ日本が道をあやまったか、についても考察している。さすが謎解きが専門のミステリー作家だ。

   西村さんが手厳しく批判するのは「特攻」「玉砕」作戦だ。命を粗末にしているというだけではない。戦争とは、生き残った人数が多い方が勝ちになる「生き残りゲーム」。いたずらに死者を増やすことは、その当たり前の理屈から逸脱している。そこには東條英機の「戦時訓」が影響しているとみる。「生きて虜囚の辱めを受けず」。民間人までサイパンや沖縄で自決を強いられた。西村さんは、明治時代にすでに作られていた「陸軍刑法」を引き合いに出して批判する。

「驚いたことに、矢折れ刀つきて、戦うことが不可能になった場合は、降伏することが許されると、書かれているのである。しかも、その刑は、六か月の禁固と軽いのだ」
「私は、改めて『戦時訓』をつくった東條英機に、腹が立った。東條(当時、陸軍大臣)は、『生きて虜囚の辱めを受けず』と書いたとき、陸軍刑法の存在を知っていたのだろうか?」

   「陸軍刑法」には占領地の住民に対する殺人、強姦などについての罰則も明記されているそうだ。「もし、兵士や軍属の中に、殺人や、占領地の女性に対する強姦などの行為があった時、すぐ、裁判にかけ、陸軍刑法によって裁いていたら、南京事件は、起きなかったかもしれない」と残念がっている。

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