「スーパーウーマン」にならなくてもいい
109人から応募があった「女性研究者への支援」部門では、10人が受賞した。育児のために研究を中断している女性研究者や、育児を行いながら研究を続けている女性研究者が、研究環境や生活環境を維持・継続できるよう、助成金1年間100万円を上限とし、2年間支援する支援「スミセイ女性研究者奨励賞」だ。
受賞者を代表し、大阪大学大学院 言語文化研究科の李潤澤さんが感想を述べた。子どもからの愛と信頼が、研究を進める力の源になっているという。
「ある日私が落ち込んでいた様子を見た3歳の息子からの『ママ、大丈夫だよ』という、根拠は無いけれどひたむきを信じている、愛しい声かけに救われました」
さらに、本プロジェクトや同じ受賞者の存在も支えになったそうだ。母親と研究者の両立には、「スーパーウーマンにならないといけない」という思いが今まであったそうだが、ありのままの自分を受け入れて困難を乗り越えていくという勇気をもらったと話した。
表彰式の締め括りとして、選考委員長の汐見稔幸氏(東京大学名誉教授、白梅学園大学名誉学長)が総評した。子育て支援の活動については、コロナ禍であぶりだされた「今まで問題視されていなかった点」から新たに生まれるニーズに着目し、それを満たす取り組みが多かったという。女性研究者に対しては
「子育てと研究の両立をしていた際にものすごく葛藤していて子育てに軸を置くという決断をした1人ですが、今回受賞された皆様はその葛藤と上手に生きていることに驚き感動しました」
と自身の体験を踏まえて称賛した。