手を上げる都市は少ない
札幌市の秋元克広市長は2月25日、北海道文化放送の番組「みんテレ」に出演し、2030年の冬季五輪の招致を目指す理由を、「次の世代を担う子どもたちに夢や希望を与えるため」とした。一方で、不安の声があることも踏まえ、「より多くの理解を得ながら進めたい。魅力ある街に発展するきっかけにしたい」と話した。
いわば既定路線として札幌開催が進んでいるが、実際はどうなのか。五輪問題に詳しい作家・ジャーナリストの山田順さんは2月10日、「ヤフーニュース個人」で「IOCだけが高笑い!札幌冬季五輪招致という『世紀の愚行』が日本の後進国転落を加速させる!」という手厳しい論考を発表している。
まず、「いまどき、IOC(国際オリンピック委員会)とスポーツ産業だけが恩恵を受け、開催地の市民が大損をするという五輪をやろうという"奇特な国"は数少ない。中国のような強権国家か、資源に恵まれた金満国家ぐらいしか、招致には手を挙げない」と指摘。30年に札幌のライバルとみなされている4都市は、いずれも反対運動など問題を抱えていることもあり、積極的に誘致活動に取り組む札幌はIOCの「一本釣り」にあう可能性が高いと分析する。