水回りの急なトラブルが発生したとき、どこに修理を頼めばよいかわからない。インターネットで探した業者を呼んだら、その後高額請求をされる被害が報告されている。
東京都水道局・下水道局指定の工事店が加盟する「東京都管工事工業協同組合 総合設備メンテナンスセンター」に取材した。広報は、基本料が数百円程度と安すぎる場合は、「高額請求業者とみて間違いないでしょう」と警鐘を鳴らす。
「高圧ポンプで8000円」が20万円に
国民生活センターはJ-CASTトレンドの取材に、よく見られるケースとして、2021年11月に50代女性から寄せられた相談事例を紹介した。
洗面所が詰まってしまい、ネットで検索し業者を探した。費用が「450円から」という文字を見て電話をすると「『高圧ポンプ』で作業し、料金は8000円です」と案内された。依頼すると、実際には一般家庭にあるようなラバーカップで作業が行われた。これを「高圧ポンプ」と言っていたようだ。
業者からは、「水回り全4か所作業した方が良い」「やらないと近隣の家に迷惑がかかる」と言われ、女性は追加で作業を依頼。結局、12万円にまでかさんだ。詰まりは解消したものの、業者はさらに「詰まりにくくなるから」と薬剤の注入作業を勧め、最終的には合計20万円が請求されたのだ。
女性は請求額がおかしいと思いネットで確認、高額請求被害にあったことが発覚したため、消費者相談センターに相談した。
総合設備メンテナンスセンター広報は、「お客様に水回りの工事・修理に関する知識がないことにつけこんだ手口です」と話す。業者の「やらないと近隣の家に迷惑がかかる」という発言は、まさに高額請求する悪質な業者の決まり文句だと指摘した。この事例で言えば、そもそも4か所全てが詰まっているのは、あまり考えられることではないそうだ。
賃貸ならまず大家、管理会社に連絡を
業者や作業内容によって価格は異なるため、基準になるような「適正価格」を示すのは難しい。ただ、消費者側が作業を依頼する前に、業者を見分けるポイントはある。
「事前に〇〇~〇〇万円かかるはずだ、という金額の提示ができるかどうかです」
総合設備メンテナンスセンター広報は、こうアドバイスする。
高額だと感じる20万円程度という金額は、「高圧洗浄を行うなど大々的な作業をした場合には、可能性があります」。ただ、それでは一般に常識の範囲内の価格なのか、高額請求なのかの判断がつきにくい。そこで「作業にはこのくらいの費用がかかる」という内訳が答えられるかどうかが重要になるというわけだ。「組合に加入している事業者に限って言いますと、消費者が納得するまで説明します」。
加えて、こう断言した。
「基本料のみ、数百円程度で作業が終わることはありません」
そのうえで消費者には、焦って依頼せずに居住する自治体の役所に問い合わせる、水道局の指定業者を選ぶ、アパートなど賃貸物件の場合は大家や不動産管理会社に事前に相談するよう勧めた。後者では、相談することでメンテナンス経費として一部負担してもらえる可能性がある、逆に無断で業者を手配・作業した場合は、退去時に費用請求される恐れがあるとも話した。