オミクロン死者数多い謎 重症は少ないのに...目立つ高齢者と容体急変

建築予定地やご希望の地域の工務店へ一括無料資料請求

もはや「別の病気」に

   別な角度から問題点を指摘する学者もいる。東京大学大学院情報学環准教授の伊東乾さんは2月10日、「実は死亡者の多いオミクロン株、軽症・弱毒は大うそ」という刺激的な論考をJBpressで公開している。

   伊東さんは、「コロナ病棟は『軽症』『中等症』患者であふれ返っている。そしてそこで高率に死者が出ている」ということに注目する。重症者でない人が亡くなるというのはどういうことか――。

   その理由は、厚生労働省の「新型コロナウイルス感染症COVID診療の手引き」にあると伊東さんは見る。「診断分類」は以下のようになっている。

○軽症:酸素飽和度96% 肺炎所見なし 呼吸困難なし
○中等症1:酸素飽和度93%~96% 肺炎所見 呼吸不全なし
○中等症2:酸素飽和度93%未満 肺炎所見 呼吸不全あり
○重症:呼吸不全。集中治療室/人工呼吸器が必要

   要するに、「肺炎」の重症度合いを軸に患者を分類している。この観点に立てば、肺炎になりにくいオミクロンは確かに「重症者が少ない」。しかし「実際、死んでるわけです。重症にもならないのに、なぜ?」と伊東さんは問いかける。

   それは、オミクロン感染が、肺炎など起こさずとも、高齢者や糖尿病などの合併症、既往症のある患者がコロナ病床数を上回る勢いで急増しているからだという。そうした患者は現在の「新型コロナ肺炎」という分類では、軽症・中等症のまま。しかし、生命に危機が及んでいるというわけだ。

   伊東さんは、オミクロン変異新型コロナウイルス感染症は、すでに「新型コロナ肺炎」ではないと強調する。

「この病気は、生活習慣病など多様な合併症、既往症と相俟って、第5波以上に高い致死率を示しており、永続する後遺症も懸念される、別種の疾病になっている」

   したがって国は、新型コロナウイルス感染症の診断基準を、抜本的に再検討する必要があると指摘している。

姉妹サイト