水のように流れる
毎日新聞は2022年2月7日の大阪夕刊で、ピアニストの反田恭平さんに聞いている。反田さんは昨秋のショパン国際ピアノコンクールで日本人の過去最高成績に並ぶ2位になった。羽生選手と同じく27歳。
今季のショートプログラム(SP)で演じる「序奏とロンド・カプリチオーソ」について、反田さんは華麗な振り付けに注目していた。
「踊り方、指先までのコントロールも素晴らしい。最初の部分は『ミ』『ラ』と5度落ちてくる音型に合わせて、手を流れるようにしています。曲にあった流れで、水のようです。羽生選手の序奏はしなやかな部分を見せています」
音楽家としての観点から「表現者・羽生結弦」はどのように映るのだろうか。そんな記者の問いかけに、反田さんは、音楽に向き合う姿勢を絶賛した。
「曲のことを考えているな、と。羽生選手の良いところは、曲を尊重しているところだと思います。確かにクラシック畑の人間からしてみれば、曲を短くするとか、編曲はご法度です。唯一それをしても補えるのがフィギュアスケートなのかなと。表現者のスケーターが音楽を尊重して踊っていると、嫌な気持ちにはなりません」