北京五輪メダル増産の秘策は帰化選手 称賛と中傷、ことさら中国愛を叫ぶ

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西洋人の顔つきをしたチーム

   一方、五輪開幕直前に代表選手が発表され、騒然となった競技がアイスホッケーだ。帰化選手が男子代表25人のうち15人、女子代表では23人のうち13人で、合計すると48人中28人と過半数を超えた。

   ある中国メディアは「代表の中に西洋人の顔つきをした選手が多く見られ、その割合は(帰化選手が多いことで知られる)男子サッカー中国代表も足元に及ばない」と驚きをもって伝えた。

   中国は開催国枠で出場するが、自国選手だけでは競技力が五輪の水準に届かず、強豪国の米国、カナダを中心に選手をかき集めたとみられる。

   国民の帰化選手への反応はさまざまだ。谷選手が国民的アイドルのような扱いを受けるのに対し、米国生まれで18年に中国籍を取得したフィギュア女子シングルスの朱易選手は、団体戦で何度も転倒し、「親のコネで出場権を得た」「恥さらし」と誹謗中傷を受けた。

   アイスホッケーの帰化選手もチームの特異さは自覚しているようで、複数の選手がSNSや取材で中国愛をアピールし、国民の支持を得ようとしている。

   男子チーム主将で、カナダ出身の葉勁光選手(カナダ名:Brandon Yip)はウェイボに「150年前に私の祖先がカナダに移住した。しかし我が家系は中国ルーツであることを忘れてこなかった」と投稿した。 実は2018年の平昌大会で、開催国の韓国のアイスホッケーチームには外国出身選手が20人いたが、大会後には大半が出身国に戻った。

   中国は二重国籍を認めていないが、帰化選手がどのようなプロセスで中国国籍を取得し、代表に選ばれたかは不透明で、谷選手らは二重国籍疑惑もささやかれている。選手と中国が愛国心で結ばれているのか、それとも単なるビジネスパートナーなのかは、大会終了後に明らかになるだろう。

【連載】浦上早苗の「試験に出ない中国事情」

浦上早苗
経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
Twitter:https://twitter.com/sanadi37
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