全国の新型コロナウイルスの死者が、今週末には2万人を超え、感染者数は来週中にも400万人に達することになりそうだ。コロナとの闘いは3年目だが、とりわけ2022年に入ってからの第6波で感染者数が急増。とくに2月になって重症者や死者が大幅に増えている。
連日100人を超える死者
NHKのまとめによると、2月9日現在の感染者は全国で358万2385人。毎日9万人ほど増えているので来週中には400万人台に達すると見られている。
昨年12月31日段階では173万3518人だったので、1か月ほどで倍増、さらに増える勢いだ。
死者は9日段階で、1万9778人。昨年12月31日段階では1万8392人だったので、すでに1300人以上増えている。特に2月に入ってからの急増が目立っており、4日に100人を超え、9日は162人。1日当たりの死者数としては過去2番目に多かった。
10日のテレビ朝日系「羽鳥慎一モーニングショー」に出演した日本医科大学特任教授・北村義浩氏は、第4波の時に一度、死者が200人を超えたことがあるが、この時は報告上の不備があって多くなった、そのため実際には2月9日が最多と説明している。
都道府県別で特に死者が目立つのは大阪府だ。9日も31人が亡くなっている。1日あたりの死者が30人を超えるのは、去年5月以来だという。軽症・中等症病床使用率が9割を超え、重症病床の使用率も3割を超えるなど、医療体制がひっ迫している。吉村洋文知事は9日の会見で「経済を止める判断もありうる」と語っている。
TBSによると、10日、全国で発表された新型コロナウイルスによる死者はあわせて164人。前日よりさらに増えた。感染者は9万9695人。
軽症でも後遺症リスク
こうした中で、医療関係者からは、改めてオミクロンの怖さを訴える声が高まっている。早くから、全国の感染者が10万人を超えることもありうると予想していた北村氏は、「羽鳥慎一モーニングショー」で、「死者の方々の数が尋常じゃない、従来の2倍に近いような数です」と強調。オミクロン株を軽く見る風潮を批判した。
雑誌「女性自身」は10日、「"オミクロンはただの風邪論"に医師警告」「軽症でも後遺症リスク」という記事を配信。一部の有名芸能人や有識者が、オミクロン株を楽観視するような発言をメディアで繰り返し、それに同調するような声がネットで少なくなかったことを取り上げている。
同誌の取材に、新型コロナウイルスの後遺症患者の診療を行っている「ヒラハタクリニック」(東京・渋谷)の平畑光一院長は「現実を何もわかっていません。こういう話を聞くたびに怒り心頭になります」と、オミクロンを楽観視する一部の風潮に憤慨している。
デルタ株などに比べて後遺症が少ないともいわれるオミクロン株だが、平畑院長は「今年に入り、オミクロン株の後遺症で診療に来られた方が、すでに10人以上います。年齢は10代~40代、女性が多いです。症状で特に多いのは、『倦怠感』を訴える方。それから"思考力"や"集中力"が低下する『ブレインフォグ』の疑いのある患者さんです。なかには、すでに寝たきりの状態に追い込まれている方もいます」と、オミクロン株でも後遺症があることを強調している。