東日本震災発生から、来月で11年となる。未曽有の震災に襲われた地域では、全国から集まったボランティアが復旧活動にあたった。
発災時、被災地では災害ボランティアセンターが設置される。そこに連絡して、支援を要請できる。だがボランティアに何を、どこまで手伝ってもらえるのか、どんな人が来るのか、被害が小さいと断られるのではないか――。あれこれ考えてしまうかもしれない。今回の「防災特集2021」では、ボランティアを取り上げる。
専門技術持つプロ
東日本大震災で大打撃を受けた、宮城県石巻市。2021年3月末時点で市がまとめた、災害ボランティアセンターを通したボランティア支援は、NPOなど団体を合わせて29万2000人超にのぼる。
石巻市社会福祉協議会生活支援課・阿部由紀さんを取材した。当時、災害ボランティアセンター(ボラセン)で、第一線で活動していた。発災から4日後の2011年3月15日にボラセンが設置され、泥出し、がれき撤去、家財道具の運び出しといった作業を担った。
ただ、阿部さんは当初、被害が甚大すぎて「何から始めたらいいのか」戸惑ったという。
「初めは電源すらありませんでした。インターネットが使えず、発信する術がない。情報が得られず、周りの状況もわからない。ボランティアが来てくれるか、不安でした」
石巻で会った東北福祉大の教員に依頼し、バスを手配して仙台から学生に手伝いに来てもらった。合わせてSNSで「石巻でボランティアを必要としている」と発信を頼んだ。
ところが、被災住民の方が「ボランティアに何を頼んだらいいのか、分からない」。家の中に土砂が流れ込んだ、大木が入り込んでいる――見たこともないダメージに、「専門業者に頼むべきではないか」と思った人は少なくないようだ。
「でも、ボランティアには専門技術を持ったプロの人たちがいる。重機を動かして、重たい家財を撤去してくれる。当時の経験を通して、私自身が実感しました」