南アが「何もしなかった」わけではない
オミクロン株に関しては、「急激に感染が広がるが、ピークアウトも早い」という予測もあった。主として、南アのピークまでの日数や、ピークアウト後の急減などをもとにした分析だった。しかし今のところ、日本では大方の想定よりもピークアウトが遅れた形になっている。
神戸大学の岩田健太郎教授は3日、読売新聞の「ヨミドクター」で「南アフリカのオミクロンが早期に収束したから、日本のオミクロンも早期に収束するだろう。そういう意見をあちこちで耳にします。そうなればよいとは思いますが、そうなるとは限らないのが、難しいところです」と書いている。
岩田さんは、南アは日本と比べると高齢者が少ないこと、さらに昨年末までは夜間外出禁止令を出しており、現在もロックダウンレベル1ということで、一定の集団形成の禁止など、様々な社会抑制策を取り続けていることなども指摘。南アが「何もしなくても」「自然に」オミクロンを制圧したわけではないことを強調している。
各国の感染の経過は、オミクロン株の特徴のみならず、「人の活動のありかた」も加味されて決定されることを指摘。英仏の状況なども引用しながら、「各国の感染対策も、国民の防護態度も異なります。あちらで起きることがこちらで起きるとは限らない、は当然なのです」と書いている。