ゆうちょ銀行など複数金融機関では、硬貨の預け入れなどに手数料が発生するようになった。貯金や仕事でたまった大量の硬貨をどう処理するか、インターネット上ではたびたび話題となる。
反対に、飲食店などでは紙幣を硬貨に交換したいパターンも存在するだろう。それぞれの課題を解決するため、インターネット上では「マッチング」できるツールが複数立ち上がっている。
「SharePoint」を活用して
システムエンジニア歴5年以上というツイッターユーザーの「カレドニアエンジニア」さんは2022年1月に、「小銭マッチングサイト(おためし版)」を立ち上げた。小銭が欲しい人と、紙幣が欲しい人をつなぐサイトだ。文書などを共有できる、米マイクロソフトのツール「SharePoint」上で稼働している。
カレドニアエンジニアさんに取材した。利用の手数料はゼロだという。2月1日時点で、利用者はまだいない。カレドニアエンジニアさん宛てにツイッター上でダイレクトメッセージを送ることで「マッチングサイト」の参加を受け付けるが、今後は専用の登録フォームを用意する予定だ。
「マッチングサイト」には「お試し小銭両替依頼板」という項目がある。利用者はそこに両替の用途、地域、店舗名や、欲しい硬貨の枚数などを入力、「依頼」を出す。他の利用者は両替対応できそうな「依頼」を見つけたら、コメント機能で依頼者と連絡をとる。具体的な両替のやりとりは基本的に当人同士に任せる方針だ。
「銀行ATMでの両替に手数料がかかるのがもったいないな、お賽銭の両替大変そうだな、とニュースを見てふと思いつき設立しました」。マイクロソフトのソフトに関する勉強も兼ねているとのこと。今後、個人間や個人と施設間、施設同士で活用されればサイトとして成長していくのではないかと考えている。
「特に、お賽銭や投げ銭などの伝統的な文化が廃れないといいな、という想いで設立しているので、神社やイベント・パフォーマーの方々と提携していけたら幸いです」
配達員と店舗をつなぐ
コミュニケーションツール「Discord」のサーバー(グループチャット)機能を使い、マッチングを試みる動きも。大阪でデリバリー配達員をしているネットユーザー「かに」さんは、「大阪両替組合(仮)」というサーバーを1月に立ち上げた。
フードデリバリーサービスなどの配達員に溜まりがちな硬貨を、飲食店といった店舗の両替に活用できないか考えて作ったものだ。現在は大阪市内を対象に運用している。店舗は店舗名や住所を明記し、「100円玉希望」など欲しい金種を書き込む。配達員側は、自分が行けるエリアをふまえて店舗とやりとりしたり、提供可能な硬貨を書き込んだりする。
かにさんに取材した。こちらも、手数料はゼロ。インターネット上で他の配達員と交流する中で、硬貨の預け入れの有料化が話題となっており、そこから店舗との両替を思いついたという。小銭の用意に苦労している店舗にも役立ててもらいながら、互いの困りごとを解消できるのではないかと考え立ち上げた。
2月1日時点で、Discord上には31人の配達員と2店舗が参加している。また非参加店がツイッター上で「両替歓迎」と発信することがあり、こうした情報を共有することもあると話す。まだ発足したばかりで「実際の両替はまだ行われていないと思います」。ただ、加盟店が実際に「両替可能」とDiscordに書き込むケースは出ているとのことだ。