「鬼」は「疫病」のこと
節分や豆まきのルーツについては諸説あるが、『天変地異はどう語られてきたか――中国・日本・朝鮮・東南アジア 』(東方選書)は、「疫病(感染症)」との関わりを詳しく報告している。
6世紀ごろから、日本列島ではしばしば疫病が大流行した。古代の記録に残されている。このころの疫病はいずれも新羅からもたらされたとみられている。705年の疫病流行では、直前に新羅から貢調使が来日していた。737年の流行は、新羅に行った遣新羅使が持ち帰ったといわれる。
このときは、日本各地に感染が拡大。とくに平城京のダメージは甚だしかった。大臣・中納言・参議などの政権首脳が次々と亡くなった。当時、貴族とされていた五位以上の4割が死亡したそうだ。実際に流行した疫病としては、天然痘、麻疹、腸チフスなどが想定されている。