新型コロナウイルスの急拡大が続いている。2022年1月の新規感染者は、全国で約100万人になっている。死者は400人超。大半はオミクロン株によるものと見られている。軽症や無症状が多いといわれるオミクロン株だが、重症者も急速に増えている。
1か月でざっと6割増
NHKのまとめによると、1月31日現在の全国の感染者は274万4398人。昨年12月31日は173万3536人だったから、この1か月でざっと6割、約101万人も増えたことになる。単月の感染者数としてはもちろん過去最高だ。オミクロン株のケタ違いの感染力を改めて見せつけている。
あまり報道されないが、死者も増えている。12月31日段階では1万8392人だったが、1月31日段階では1万8815人。423人も増えた。
コロナの死者は昨年11月上旬から激減。ゼロの日も何度かあった。しかし、1月22日にⅠ日で17人となって以来、二ケタが続き、このところ連日30~40人台となっている。この1週間で200人を超えている。
重症者も増えている。1月31日段階で783人。第5波のピークだった昨年9月上旬は約2200人だったので、その35%ほどになっている。これからさらに増えることが確実だ。
高齢者がたいへんなことに
一方、日本経済新聞は1月30日、「第6波 重症化率25分の1」「厳格制限、経済の重荷」という記事を掲載している。民間の研究者やシンクタンクの分析をもとにしたものだ。重症者の絶対数ではなく「重症率」に注目している。
まだ全国的に感染拡大の途中ではあるが、「専門家は東京都のコロナ感染者の重症化率は従来の25分の1と大幅に低くなると推定」「従来型の時のような厳しい行動制限を見直し、オミクロン型の特徴に応じた柔軟な政策に変更する必要性が見えてくる」としている。
これに対し、朝日新聞は同31日、「感染の波 高齢者に」「弱毒と言われるが強烈な肺炎」という記事を掲載。「懸念されるのは、入院や重症化の波が、新規感染の波に遅れてやってくることだ」と注意を促す。
同紙によると、1月25日までの1週間で、全国の60代以上の新規感染者は約3万6000人。前週の2.5倍で、「第5波」で最多だった昨年8月末の約1万人を大きく上回っている。オミクロン株でも年代が上がるほど重症化しやすい傾向は変わらず、「感染がこのまま広がると、高齢者がたいへんなことになる」と危ぶむ医師の声を紹介。感染症内科医の岩田健太郎・神戸大教授は、「高齢者に感染が広がり、今後は死者が少しずつ増えていく」と指摘している。