中国は2月1日に春節(旧正月)を迎えた。2022年のカレンダーでは1月31日(大みそかに相当)~2月6日が祝日となっており、子どもたちにとっては、その間にどれだけゲームができるかが最大の関心事になっている。
というのも中国は2021年8月30日、子どものゲーム依存を防ぐために「未成年(18歳未満)のプレイ時間を金、土、日の各20~21時の1時間」に限定する規制を導入したからだ。年末年始の休み期間くらいは、遊べる時間が長くなることを期待する子どもは少なくない。
大ヒットスマホゲーム「王者栄耀」の開発元で、世界最大のゲーム会社であるテンセントゲームズは子どもたちの願望を見透かしたように、「1学期にわたってゲームを制限された子どもたち。春節休みは思い切り遊ぼうと気合が入っているかもしれない。今のうちに遊べる時間を確認しておいてください」と、「ゲーム解禁カレンダー」を公表した。
ゲーム会社が「やり過ぎ注意」呼びかけ
テンセントゲームズによるとカレンダーで数字の背景が赤くなっているのが、未成年がゲームでログインできる日で、時間は20時から21時の1時間だ。 1月31~2月6日の春節休み期間は1日1時間ながら毎日遊べる。
注意が必要なのは、1月29、30日が週末にもかかわらずプレイできない点だ。実は中国は大型連休の前後の土日は「振替平日」になる制度があり、通常3連休のときは前後の土日のうちいずれか1日、春節と国慶節の7連休は2日が平日扱いになる(留学や仕事で中国で暮らすようになった日本人は非常に戸惑い、慣れるまで数年かかる)。
暦上平日扱いの日は、ゲームも禁止されるというわけだ。
テンセントゲームズは、父母、祖父母など他人のIDや携帯番号でログインすることをいさめ、「私たちは24時間体制で顔認証をしている」と警告し、「冬休みはゲームであまり遊ばず、新学期にしっかり頑張って!」と締めくくった。
同社がゲーム会社なのに子どもたちにゲームをやり過ぎないよう呼び掛けざるを得ないのは、中国当局のゲーム産業への圧力が強まる一方だからだ。
「厳しすぎる」「がっかりした」
テンセントゲームズが2015年にリリースした「王者栄耀」は爆発的にヒットし、今も同社の稼ぎ頭。だが、子どもが夢中になりすぎて成績や視力が下がったり、親のIDで高額課金したりと問題も多く発生し、同ゲームは2017年ごろから「毒物」「精神のアヘン」と度々当局に批判されてきた。
同社はログインに顔認証を導入し、子どものプレイ時間や課金を制限するなど自主規制を行ってきた。しかし、子どもたちは両親や祖父母の顔情報やIDを使ったり、インターネットで成人の携帯番号をレンタルしてログインするなど、いたちごっこが続いていた。ついに昨年8月末、当局は国内のゲーム会社に、未成年のプレイ時間を週末の1時間に制限するよう命令を出した。
テンセントゲームズが発表した冬休みのルールについて、SNSでは「厳しすぎる」「がっかりした」と失望の声が多い。だが政府にこれ以上にらまれると、会社としての存続も危うくなる。大型連休であっても1日1時間が政府、企業、子どものぎりぎりの妥協点のようだ。
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