「堂安を見たときは『うぉっ』て」 久保竜彦が示すスーパースターの条件

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「何じゃコイツ」っていう選手

――本大会で日本がベスト16の壁を超えるために必要なことは。

久保:大迫と(大久保)嘉人を合体させたような選手がいたら、いけるんじゃないですか(笑)。
   やっぱりドカーンという選手が出てくるかどうかじゃないですかね。中田(英寿)でも無理で、本田(圭佑)と香川(真司)でも厳しかった。よっぽどの選手が出てこないと、ベスト16には行けても、その先はね。
   チーム力っていうのもあるかもしれないけど、結局は点を取るなり、ゲームを決めたりするのって「何じゃコイツ」っていう選手(スーパースター)じゃないですか。それがベスト8じゃないですか。伸二が(1999年に)膝をけがさせられなければ(日韓W杯かドイツW杯でベスト8に)行っていたかもしれない。

――そういった意味で、注目している日本人選手はいますか。

久保:「堂安(律)ですかね。堂安を見た時は「うぉ」ってなったし、(スーパースターに)なりそうな気もした。可能性は、あると思う。あの「やってやる」って顔も好きだし、左足でドリブル行くのも良いし、今後が楽しみですね。

   森保ジャパンとジーコジャパンが似ているという声には、「似てないでしょ、全然違うチーム。試合のテンポがあきらかに違うし、走っている量も全然違う」と即答した久保氏。そして、前編で語られたように、今の代表選手たちは色々なバリエーションを持っている、と。

   話を聞いていて、森保監督は守備の規律を整え、ハイプレスとミドルプレスのゾーンディフェンスからボールを奪い、繋がずにシンプルに中央を狙う。モダン化されたリアクションサッカーをベースとし、相手に中央を固められたら「選手に考えさせる」ことで生まれる創造性で打ち破ることを考えているのではと思った。それはそれで面白い。

   だが、相手にプレスをかわされ始めると連動できなくなり、中央を固められた時の選手間のアイデアの合致も少ない。東京五輪では、チームの柔軟性に不安も持った。

   本大会ベスト8以上を目指すには何が必要か。この連載で様々な識者に聞き、考察したい。

石井紘人 @ targma_fbrj


久保竜彦(くぼ・たつひこ)
   1976年6月18日生まれ。元々は読売ジャイアンツ好きの野球少年だったが、小学生時代の指のけがをきっかけにサッカーの道に。筑前町立三輪中学校を経て、筑陽学園高校に入ってから才能の片鱗を見せるものの、ビッグマッチには縁なくテストを受けてサンフレッチェ広島に入団。2年目となる1996年から才能が開花し始め、98年には日本代表に選出される。そして、2003年に横浜Fマリノスに移籍すると一気にブレイク。ジーコ監督の日本代表にも選出され、EUROを控えた優勝候補のチェコから得点を奪うなど、日本代表では32試合で11得点を奪った。
   その後はけがに苦しむが、池田誠剛氏に紹介された山形県高畠断食道場や夏嶋隆先生を師事し、2011年までJ1やJ2リーグでプレーした。「間近で見た中で巧かったのはジダンとジーコ」。
   仕事のオファーは https://www.dragon-official.com/

文:石井紘人(いしい・はやと)
   ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。著書に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)など。『フェアプレーの鏡』(フジテレビ)など番組制作にも関わる。『TokyoNHK2020』サイトでは一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「将棋をスポーツ化した競技『ボッチャ』」などを寄稿。
   株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作したDVD『審判』、日本サッカー名シーン&ゴール集『Jリーグメモリーズ&アーカイブス』の版元。現在『審判第二弾』を制作中でもある。

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