過去にもNFTに着想を得た大規模詐欺
NFTを発行する各社は、「NFTは暗号通貨ではない」「保管して楽しむデジタル資産」と位置づけ、投機的な動きをけん制している。
だが、これまでブロックチェーン、暗号通貨と新しい技術が話題になる度に、怪しいビジネスが横行してきた中国で、NFT詐欺が表ざたになるのは時間の問題だろう。
2020年8月には、中国人が大好きな「猫」と「投資」を組み合わせた大規模な「エア猫投資詐欺」が摘発された。アプリで仮想猫を購入し、有料の餌で一定期間育て、別のユーザーに転売するゲーム。その運営会社は、「転売の際には元本と最低10%の利息を受け取れる」とうたっていた。若者を中心に被害者が6000人を超えたこの詐欺は、NFTゲームの元祖的存在でもある猫交配ゲームの「CryptoKitties(クリプトキティ)」に着想したと見られている。
メタバース、NFTでも「新技術ブーム、投機過熱、不正行為に悪用、禁止」のループが再び繰り返されるのか、当局も警戒を強めている。
浦上早苗
経済ジャーナリスト、法政大学MBA兼任教員。福岡市出身。近著に「新型コロナ VS 中国14億人」(小学館新書)。「中国」は大きすぎて、何をどう切り取っても「一面しか書いてない」と言われますが、そもそも一人で全俯瞰できる代物ではないのは重々承知の上で、中国と接点のある人たちが「ああ、分かる」と共感できるような「一面」「一片」を集めるよう心がけています。
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