国営通信社もニュースをNFT化
最初に断っておくが、中国では暗号資産の取引が全面禁止されている。NFTに関する当局のルールは現時点で存在しないものの、国内企業は自主規制してマーケットプレイスを開設していない。メタ社(Facebook)の社名変更でメタバースやNFTへの注目が急上昇した昨年秋以降はNFTという言葉も消え、「デジタル・コレクション(数字蔵品)」と言い換えられている。
それでも、海外のマーケットプレイスでNFTが高値で取引されるニュースが飛び交う状況を、投資好きの中国人は指をくわえて見ていることはできないようだ。NFTが発行されるたびに入手を試みる人が殺到している。
アリババグループの金融子会社「アント・グループ」が2021年6月、敦煌研究院と共同で世界遺産・莫高窟(ばっこうくつ)の壁画を元にしたNFTを10元(約180円)で8000枚発行した際には、数分で完売した。世界最大のゲーム会社テンセント(騰訊)、EC大手のJD.com(京東集団)がNFTを抽選方式などで無料配布したときも、奪い合いになった。
12月24日に国営通信新華社が運営するアプリが、2021年の注目ニュースをデジタルトークンにしたNFTを11万枚無料発行したときは、「国営通信社がNFTに参入するのだから、国として推進するのでは」との期待が高まった。