現実の私は今、大浴場にいるのでは?
次に訪れたのは、「ナイトサファリ」(ワールド名「Night Safari Hangout」)。平原にいるゾウやキリンたちと、好きなだけ触れ合える。備え付けの小さな棒状のギミックを使うと、花火を自由に打ち上げられるので、夜でも空が明るい。
ひととせハルさん「どこかにペンギンがいるので、探してみてくださいね!」
宝物探しならぬ、ペンギン探しに燃える参加者たち。あっという間にあちこちへ散っていった。記者も気分に任せて歩いていると、運良くペンギンエリアを発見!
散策の仕方を企画側が限定せず、出来る限り自由行動させてくれる。それだけにどのワールドも、とにかく滞在時間が足りない。もっと見て回りたいという声も上がったが...。
ひととせハルさん「最後の目的地は旅館です。なんと、温泉がありますよ!」
これは行くしかない。前のめりにポータルをくぐり抜けると、雅な音楽が流れる静かな宿の入口に立っていた(ワールド名「ケセドの桜旅館-CHESED's SAKURA RYOKAN-」)。
驚いたのは、音だ。大浴場に足を踏み入れた瞬間、それまでとは聞こえ方が変わった。話し声が反響するのだ。目をつぶったら、「リアル大浴場」にいると錯覚しそうだった。
全員で露天風呂に入った後(画像4)、宴会場へ。酒を注いだり、注がれたりしながら、「密」を気にせず話に花を咲かせた。気付けば、近くに居合わせた人は誰とでも垣根なく談笑する雰囲気ができていた。
勇希夏矢さんは「最初は知り合い同士でかたまっていても、最後にはいつも大きなひとかたまりになって、みんなで楽しんでいる。旅が、人と打ち解けやすい空気を作ってくれます」と言う。
1時間半の旅程では、各ワールドで美しい景色を見て回るだけに留まらない「体験(アクティビティ)」ができた。アバターで走ってもコントローラーを操作するだけなので疲れない。バーチャルなので、高所から飛び降りてもケガをしないし、水に落ちても濡れない。だから、リアルではできない「無茶」も楽しめた。人やワールドとの出会いを通じ、VRをさらに楽しむ道が拓けたようだ。