トンガ大噴火、豪州とNZが素早い対応 数千キロ離れても深いつながり

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   トンガで2022年1月15日に起きた海底火山大爆発で、豪州とニュージーランド(NZ)の素早い情報収集活動や積極的な支援ぶりが目立っている。トンガが情報孤立する中で、いち早く通信衛星などで現地情報の把握に努め、飲料水の提供などが必要なことなどを世界に発信してきた。なぜ両国は、遠く離れた隣国の危機に素早い対応ができているのか。

  • トンガ王国の国旗
    トンガ王国の国旗
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火山灰が降り積もる

   トンガは170ほどの島で構成されている。島の全面積を合わせても奄美大島と同じぐらい。人口は約10万人。爆発が起きたのは、首都ヌクアロファがある島から60キロほど離れた海底火山だ。ほどなく海底ケーブルなど通信設備の損傷で国外との連絡が困難な状態になった。

   しかし、時事通信によると、ペイン豪外相らは16日に声明を出し、被害状況を把握するために軍の哨戒機を派遣することでトンガと合意したと発表。アーダーンNZ首相は16日の会見で「灰の雲が汚染につながる」と強調し、喫緊の課題である飲料水の提供に意欲を示した。

   朝日新聞によると、アーダーン首相は、同国の在外公館である高等弁務官事務所とは連絡が取れているとして「首都ヌクアロファは火山灰が降り積もったものの、状況は落ち着いている」と述べた。

   世界各国の中では飛びぬけて早い被害状況の発信で、各国メディアは噴火直後、もっぱら両国首脳による現地報告に頼る形となった。

「英連邦」の一員

   両国がいち早く情報収集や支援に動いたのは、単に隣国というだけではなさそうだ。実際のところ、NZからトンガまでは2300キロほど離れている。シドニーとトンガは約3500キロ。ふだんから相応の準備をしていないと、対応が難しい距離だ。

   実はこの3国は、同じ「同盟」に属している。「英連邦」だ。通称「コモンウェルス」。おおむね大英帝国の時代に、英国と関係が深かった国々で構成されている。50あまりの国が加盟している。

   トンガは1900年に英国の保護国になり、1970年に英連邦の一因になった。公用語は英語とトンガ語。主たる宗教はキリスト教。豪州とNZは、さらに英連邦の中の15か国で構成される「英連邦王国」に属している。トンガ、豪州、NZは、距離は離れているものの、オセアニアの隣国同士ということに加えて、英国と強いつながりを持つ同じ同盟の一員という強い絆がある。

   トンガはラグビーの強豪と知られ、日本で活躍する選手も多い。毎日新聞によると、トンガのラグビーは、英国の保護領になってから、キリスト教を伝える宣教師によって持ち込まれたものだという。

   太平洋戦争では、トンガは連合国(英国)軍の一員として参戦、ソロモン諸島を占領した日本軍と戦った。トンガの島々はNZ軍と米軍の拠点ともなっていたという。

   朝日新聞によると、20日、首都ヌクアロファ近郊の空港に豪州軍のC17輸送機とNZ軍のC130輸送機が到着。被災後初めて飲料水や食料などの支援物資が届けられた。両国を軸にした救援活動はこれからさらに加速しそうだ。

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