年末年始にかけて、処理しきれない生乳が5000トン発生する恐れがあると懸念されていた。幸いにも廃棄を免れたと、乳業関係者の業界団体「Jミルク」が2022年1月11日発表した。牛乳の原料となる生乳の余剰発生を回避できたという。
新型コロナウイルスの影響などで生乳の需要が落ちていた。政府はじめSNS上でも、牛乳の消費拡大が呼びかけられていた。
「応援したい」の声
Jミルクは、酪農乳業関係者自身の牛乳消費の拡大を求めつつ、酪農家には一時的な生乳の出荷抑制、消費者には牛乳を使った「ミルク鍋」というレシピを提案するなど、処理不可能乳の発生を防ぐため、各方面に呼びかけを行ってきた。
J-CASTトレンドは、Jミルクに取材した。広報は、どの取り組みが最も効果を挙げたかはまだ分析できていないと話す。
ただ、消費者からは「応援したい」「消費拡大に協力したい」といった電話が寄せられていたという。このような声は、他の酪農家や乳業メーカー、小売店にも届いていたのではないかと推測。消費拡大の背景として、こうした「応援の輪」が大きな要因になったとの考えを示した。
データが示す販売動向
Jミルク公式サイトでは、牛乳類の販売速報を推定値で公開している。22年1月7日発表によると、牛乳の販売個数の前年比は、21年12月13?19日の週が94.8%、12月20日?26日は98.3%、12月27日?2日は96.7%で推移した。20年度より減少しているように見える。
広報によると、20年の年末から21年の年始は新型コロナウイルス感染症が急速に拡大した。旅行・帰省を中止して自宅で過ごす動きが広がったことで一時的な巣ごもり需要が起こり、牛乳の消費が見込みよりも伸びたのだという。そのため、昨年末は前年同期より減少したとの説明だ。
コロナ禍前、2019年度の同時期と比較してみると、21年12月27日の週の牛乳と販売比率は103.7%だ。広報は、コロナ前と比べて昨年末は売り上げが伸び、消費の高まりはある程度確認できたとした。
Jミルクは11日の発表の中では関係者や消費者に感謝を述べつつ、「引き続き、毎日の食生活に牛乳・乳製品を取り入れていただけますよう、お願い申し上げます」と呼びかけた。