オミクロン株が猛スピードで広がっている。軽症や無症状が大半とされているが、見逃せないのが「中等症」だ。沖縄をはじめ各地の感染者の中で目立ち始めている。「中等」という言葉のイメージとはやや違って、酸素吸入が必要なケースも。「人生で一番苦しい」という医者の声もある。
「中等症2」は酸素投与必要
琉球新報によると、2022年1月12日昼現在、沖縄では305人が入院している。そのうち中等症は146人。高知さんさんテレビによると、高知県では同日12人の感染が判明し、1人が中等症。佐賀新聞によると、佐賀県では同日87人が感染、12人が中等症。KYT鹿児島読売テレビによると、鹿児島県では113人が感染、2人が中等症。テレビ新広島によると、広島県では11日段階で中等症が12人。
厚生労働省は、新型コロナウイルスの症状について「新型コロナウイルス感染症診療の手引き第5版」で定義している。それによると、大別して軽症、中等症、重症の3つに分かれ、さらに中等症は、1と2に分かれている。
「中等症2」は酸素投与が必要で、酸素飽和度93%以下。「中等症1」は呼吸困難、肺炎の所見があり、酸素飽和度93~96%となっている。
「マイルド」ではない
「中等症」は「中」という言葉のイメージから、さほど重くない、と思われがち。しかし、医師の受け止め方は異なる。東京都新宿区のヒロオカクリニックのウェブサイトは、「中等症の『中』という文字を誤解しないでください。これは『マイルド』という意味ではなく、重症に近づいていると理解してください」と警鐘を鳴らす。
特に「中等症2」は要注意だ。「通常の病院に入院している患者さんが中等症2に進んでしまったら、その病院の医師は、高度な医療を提供している病院に転院させることを検討しなければならない」という。朝日新聞は過去のコロナの症例をもとに、「多くの人にとって人生で一番苦しい」という医者の声も紹介している。
沖縄県が1月4日まで感染者を分析した資料によると、92.3%が無症状か軽症。中等症は7.7%。昨年7月中旬段階では、無症状・軽症が72.8%、中等症は26.2%だった。オミクロン株はデルタ株に比べて「軽症・無症状」が多いが、一定数の「中等症」が存在することがわかる。
医療体制のひっ迫や入院患者の重症化を防ぐという観点からも、「中等症」対策が重要になる。すでに兵庫県のように、「入院は中等症以上」としている県もある。