在宅避難の盲点「情報が届かない」 サポート側の連携で「支援格差」解消

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家庭訪問により在宅避難者を把握

大町町住民の交流拠点「Free Space Peri.(フリースペース・ペリドット)」(写真提供:ピースボート災害支援センター)
大町町住民の交流拠点「Free Space Peri.(フリースペース・ペリドット)」(写真提供:ピースボート災害支援センター)

   大町町では昨夏の水害発生後、先述の「ペリドット」ほか公民館分館を支援交流拠点として設置。地域おこし協力隊と自治会が運営主体、ピースボート災害支援センター(PBV)ほかNPOが運営サポートとして、住民への物資配布や食事の提供、損壊した家の応急処置に使う機材貸し出しや、浸水による壁や床下のカビ調査を行った。

   被災住民は、避難所にいれば必要な情報を得やすいが、在宅避難だと自発的に入手しにいかねばならない。支援側にとっても、在宅避難者を全て把握するには時間がかかる。

   支援交流拠点は、被災住民の状況を聞く役割も担った。足を運んできた人から心配事を聞き出し、早めに対応したほうがよいことは拠点運営者が行政につなげた。

   ただ、在宅避難者全てが拠点に来るとは限らない。高齢で外出が簡単でない人もいる。町では発災後、住民の罹災(りさい)状況を把握するため行政の医療チームや地域おこし協力隊、NPOが各家庭を訪問して回った。ここでは、2019年の水害後に設置した「CSO連携室」が機能した。「CSO」とは「市民社会組織」の意味。地域おこし協力隊が窓口となってNPO、町役場、大町町社協が協働連携し、必要に応じて集まって情報や意見交換を行う。

被災住民のため、支援側の行政やNPOがコミュニケーションを重ねた(写真提供:ピースボート災害支援センター)
被災住民のため、支援側の行政やNPOがコミュニケーションを重ねた(写真提供:ピースボート災害支援センター)

   この時の罹災状況調査では、各団体がそれぞれ被災住民に何を聞きたいか「ヒアリング項目」をすり合わせた。集まった情報をCSO連携室で集約し、被災状況を確認できた。さらに、罹災の手続きに役場へ来た人にアンケートを実施。自宅で「電気が使える・使えない」といった状況や健康状態を問う質問と、細かく尋ねた。

   在宅避難者のヒアリングとアンケートは、8月末に開始して9月中旬に完了した。2019年の水害時では、こうした住民の状況把握が始まったのが発災からおよそ3か月後ぐらいだったというから、比較するとかなり早期に状況が把握できたことになる。

   近年は大規模な自然災害が頻発している。住民のケアを丁寧に、長期間続けるには、行政だけでは難しい。大町町のようにNPOをはじめとした支援団体、さらに地域住民やそのリーダーと行政側が普段から連携することで、万一の際でも住民の被害状況を早く把握し、その後の継続的な支援につなげやすくなるだろう。

(J-CASTトレンド 荻 仁)

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