新年早々、関東南部を中心に雪が降った。東京23区に大雪警報が発表された2022年1月6日、ツイッターでは「静岡県民」がトレンド入りした。静岡でも雪が観測され、県内各地の人々が「雪が降ってきた!」と"はしゃいで"いるためだ。
なぜ、雪が降るとそこまで喜ぶのか。きょう、「雪が降っているところを見た」静岡県民を取材した。
「イベントのよう」「激レア現象」
「前回の雪は何年ぶりかわからないほど前だったので、雪国の方には申し訳ないのですが、正直ワクワクしました(笑)」
熱くこう語る、静岡県沼津市在住の40代女性。静岡で39年暮らしている。県内で雪が降ることは「めったにないので、イベントのような感覚」。東京で降雪があると交通網のまひが危惧され、帰宅に支障が出るのではと不安の声が上がる。だが、静岡は違う。「雪が降っても滅多に積もらないとわかっているので、そこまで心配せずにいられるのだと思います」。
ただ、「山の方は結構降るので、県民でも受け止め方は全く違う」という。
杉山写真材料店公式ツイッターアカウント担当者は、生まれも育ちも静岡市の40代。「同じ静岡県でも御殿場や富士宮は毎年、浜松でも5~6年に1回降る。静岡市をはじめ、中部が本当に降らない」という印象を持っているそう。
本人によると降雪とは「あるんだろうけど、めったに目にしない激レア現象」。きょう雪が降るのを見て、「とてもうれしい」と「驚き」が混じった気持ちになったという。
「前回降ったのは、少なくとも10年以上前。私が4~5歳の頃に静岡で地面が白くなるのを見ましたが、以降は積もるという現象を知りません。『この後、私が生きている間に雪が降ることはあるのだろうか』レベルの話です。小2の息子も生まれて初めて雪が降ってくる様子を見て興奮していました」
さらに、「過去に『明日は雪かも』と予報があったのに降らないことが何度もあった」のも、驚きに拍車を掛けた。「とても画像に収まるレベルではなかったが、これですら大事件」だと、雨混じりの雪が降る動画を見せてくれた。
雪を分けてほしい
富士宮市にある「家具と介護のお店かごや」公式ツイッターアカウント担当者は、「雪が降ると、はしゃぐタイプです。血が騒いじゃう」。生まれも育ちも静岡。富士宮市で数十年暮らしている。「静岡県は温暖で穏やかなので、ちょっとの不自由とか『え、これからどうなるの』ということがあるとワクワクしちゃう」と話す。
「昼前にはボタン雪がタバタバと降ってきました!でも、もうやんでしまって、全然積もらなくて、『はあ、なんだ普通に帰れるな』という気持ちです」
残念そうだ。「積雪で困っている地域の人たちには本当に申し訳ない」としつつ、雪を分けてほしいとうらやましそうだった。
仕事柄、降雪を冷静に見ている人たちもいる。山間部の静岡市両河内で茶づくりにいそしむ、茶農家集団「ぐりむ」公式ツイッターアカウント担当者の30代女性。静岡居住歴は7年だ。関東から移住してきて、この日が初めての降雪となったが「寒いし、雪の面倒な側面も知っているので正直やめてくれと思った」。
しかし撮影は怠らなかった。雪がちらつく茶畑を収めた一枚だ。
農家として自然を相手にしているため、自分も同僚も「降る前に早く仕事をしてしまわないと」「うわぁ、降っちゃったよ。まいったなこれ」という思いが先に立つそうだが、それでも周囲が雪景色を撮影するのを見て、「うわさには聞いていたが、トレンド入りするほど静岡県民が盛り上がるとは...恐るべし...」と感じたそうだ