久保竜彦「アジア予選は苦戦して当然」 戦ったからこそ分かる難しさ

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ドキドキの試合が見られますよ

――最近の日本代表の試合を見て、どのような印象を持ちますか。

久保:直線的な展開が多いかな。でも、それはそれでカウンターを受け辛いというのもあるし。自分が好きなのは、堂安(律:PSV)とか中島(翔哉:ポルティモネンセSC)が出ていた時の「そこ見ていた?」「そのタイミング?」という日本代表です。ただ、今の日本代表は、そういう試合も出来る中で、守備をがっつりやっている手堅い試合をしているんじゃないかな。

――メディアやファンからの「もっと得点を」という声を受けて、選手たちはどのように感じていると思いますか。

久保:1点差でもチームが勝っているということは、チームをいじらないということ。控えの選手からすると、ポジションをとるのは難しいと感じているはず。ただ、スタメンのFWは1-0だと「ぐわっ」と(自身に不満を)思っているかもしれません。見ている人たちからすると、カチカチのサッカーなんでしょうけど、選手からすると勝たないと意味がない。
 でも、逆にドキドキの試合が見られますよ。皆は、楽に勝つような面白い試合を見たいのかもしれないけど、この間の(2021年10月に埼玉スタジアムで行われた)オーストラリア戦とかしびれたもんなぁ。

   取材中、何度も「今の日本代表の方がうまいし、レパートリーもある」「俺はW杯出てないしなぁ」と現役選手たちへのリスペクトを語り、「オーストラリア戦は『うぉ、しびれるなぁ。これがサッカーだな、おもろいなぁ』って思いましたよ」と「選手時代から、どっちに転ぶか分からない試合が好きだったんですよ」と興奮気味に明かしてくれた。久保氏のような心構えで試合を見れば、また違った森保監督率いる日本代表が見えてくるかもしれない。

   インタビューは後編に続きます。「ジーコジャパンと森保ジャパンの違い」「日本代表のワントップ問題」「今の日本代表の横パスが多いのは...」「日本がベスト8に進みために何が必要か?」「アジア予選とW杯ベスト8常連国との戦いの違い」を、久保氏が語ります。


久保竜彦(くぼ・たつひこ)
 1976年6月18日生まれ。元々は読売ジャイアンツ好きの野球少年だったが、小学生時代の指のけがをきっかけにサッカーの道に。筑前町立三輪中学校を経て、筑陽学園高校に入ってから才能の片鱗を見せるものの、ビッグマッチには縁なくテストを受けてサンフレッチェ広島に入団。2年目となる1996年から才能が開花し始め、98年には日本代表に選出される。そして、2003年に横浜Fマリノスに移籍すると一気にブレイク。ジーコ監督の日本代表にも選出され、EUROを控えた優勝候補のチェコから得点を奪うなど、日本代表では32試合で11得点を奪った。
 その後はけがに苦しむが、池田誠剛氏に紹介された山形県高畠断食道場や夏嶋隆先生を師事し、2011年までJ1やJ2リーグでプレーした。「間近で見た中で巧かったのはジダンとジーコ」。
 現在は2018年に移住した山口県光市の室積にてカフェで牛島の塩を使った塩コーヒーをいれている。仕事のオファーは https://www.dragon-official.com/

文:石井紘人(いしい・はやと)
   ラジオやテレビでスポーツ解説を行う。主に運動生理学の批評を専門とする。著書に『足指をまげるだけで腰痛は治る』(ぴあ)『足ゆび力』(ガイドワークス)など。『TokyoNHK2020』サイトでも一年間に渡り、パラリンピックスポーツの取材を行い、「将棋をスポーツ化した競技『ボッチャ』」などを寄稿。
   株式会社ダブルインフィニティ代表取締役でもあり、JFA協力、Jリーグと制作したDVD『審判』、日本サッカー名シーン&ゴール集『Jリーグメモリーズ&アーカイブス』の版元。現在『審判第二弾』を制作中でもある。

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