DXで持続可能な日本社会へ 自動運転が、ドローンが、地方を元気に

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【2022年を占う(4)】

   SDGs(持続可能な開発目標)とDX(デジタルトランスフォーメーション)。近年、社会をよりよくするためのキーワードとして頻繁に目にする2つだ。新型コロナウイルスの出現で、私たちの暮らし方は変わった。未来に向けて発展を続けるには、SDGsとDXの達成が欠かせない。

   一般社団法人SDGsデジタル社会推進機構事務局長・木暮祐一氏にインタビューした。日本ではモノやサービスが部分的にデジタル化しても、IT技術により人々の生活全体が改善するまでには及んでいないと指摘する。2022年、DXは日本社会の持続的発展にどんな役割を果たすのか。(聞き手はJ-CASTトレンド編集部・荻 仁)

  • 茨城県境町の自動運転バス(写真は木暮祐一氏提供)
    茨城県境町の自動運転バス(写真は木暮祐一氏提供)
  • バスの屋根には「3D-LiDAR」という空間センサーが取り付けられている。これで障害物を検知し、停車などを判断する(写真は木暮祐一氏提供)
    バスの屋根には「3D-LiDAR」という空間センサーが取り付けられている。これで障害物を検知し、停車などを判断する(写真は木暮祐一氏提供)
  • 茨城県境町の自動運転バス(写真は木暮祐一氏提供)
  • バスの屋根には「3D-LiDAR」という空間センサーが取り付けられている。これで障害物を検知し、停車などを判断する(写真は木暮祐一氏提供)

一歩進んだ「オンライン診療」

――日本では現在、DXがどこまで進んでいるとお考えですか。

木暮:私の感覚で言えば、OECD(経済協力開発機構)加盟38か国の中で、最下位に近いのではないでしょうか。GIGAスクールが始まったので今後挽回されると思いますが、特にデジタル教育の分野で遅れていました。
 社会でデジタル活用が進んでいません。例えば電子決済。日本でも普及してきたとはいえ、単にQRコードをスマートフォン(スマホ)で読み取って支払うだけでは、サービスを電子化しただけです。デジタライゼーションであってDXまで到達していない。中国のQR決済アプリは、決済情報が生活のあらゆるものに連携しています。例えば病院での診察予約や資産運用が同じアプリでできるのは、情報が連携し合っている仕組みだからです。日本もここを目指していますが、サービスがバラバラだったり、いまだ現金主義、ハンコ主義といったものが介在しています。

――では2022年、日本のDX進展で期待できるとしたら何でしょうか。

木暮:コロナ禍で進展した、オンライン診療でしょうか。ただ現時点では、デジタライゼーション止まり。例えばアプリで、診察を受ける前に患者が医師に相談できたり、逆に医師が患者の情報を事前に確認して「あなた、診察を受けたほうがいいですよ」とアドバイスしたり、診察の予約や薬の手配、決済まで「一気通貫」にできれば、利用者にとっては大変便利になるでしょう。

――SDGsの17項目のうち、11番目に「住み続けられるまちづくりを」があります。高齢化が進む地域でオンライン診療がもっと広まれば、お年寄りが取り残されることなく、住み慣れた土地で快適に暮らし続けられますね。

木暮:長野県伊那市では、医療機器を搭載した移動診療車を活用する「モバイルクリニック事業」を本格運用しています。
 地方は車社会ですが、高齢になると免許返納もあり、交通手段が限られて病院に足を運ぶのが大変。一方、少ない人数の医師があちこち往診に回るわけにもいきません。
 移動診療車は、市内の複数の医療機関が共有しています。看護師は、患者が希望する診察時間を確認したらアプリ経由で車を予約して、患者の自宅に「往診」に行きます。医師は同乗しません。到着後、患者は車両に乗り込み、オンラインで医師の診察を受け、看護師が医師の指示に従って診療の補助を行います。車内には心電図モニターや血圧計をはじめ医療機器が備わり、パソコンで患者の診療履歴の閲覧ができます。
 伊那市では実証実験の先に、遠隔での服薬指導、ドローンによる薬の配送を目指しているとのことです。
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