変化したキャンパスライフの中で得たモノ
――学生が今後、自分の心のバランスを崩さないためのアドバイスをお願いします。
高石 コロナの影響で学生生活・人間関係の構築の体験が十分でないので、皆さん大なり小なり満たされない気持ちや喪失感、傷ついた心を抱えているでしょう。ただそれは、同世代に共通の体験で、自分ひとりだけではないと認識してもらいたい。
人間はどんな経験をしても、何かを失ったら必ず得ているものもあるはず。コロナ禍のさなかに入学しキャンパスライフを送っている学生は、先が見えない中で曖昧さに耐える力や、孤独に自分を管理しければならない能力を、他の世代の人よりずいぶん培っていると思います。
「他の世代にはないものも持っている」と自覚し、今後自信を持って社会に出ていってほしいですね。
高石恭子(たかいし・きょうこ)
甲南大学文学部教授。博士(教育学)。専門は臨床心理学。学生相談室の「専任カウンセラー」として学生の悩みと向き合う。カウンセラーや教職員で構成される「日本学生相談学会」では2019年より理事長。著書に「子育ての常識から自由になるレッスン」(世界思想社)ほか。